◆列島縦断ニュースハイライト◆
【関東/甲信越発】
■合併特例法で市制要件の緩和が認められる2004年3月までの合併を目指して協議を進めていた新潟県巻町と岩室村、潟東村の3町村は、原発建設の賛否を問う住民投票の実施をめぐる問題で折り合いがつかず、4月4日、合併協議の打ち切りで最終合意した。
2002年1月に巻町の笹口町長が「合併前に原発をめぐる住民投票を実施してほしい」と要請したが、両村の村長が「できない」と難色を示したことから、協議は行き詰まり、合併構想が暗礁に乗り上げていた。
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【関東/甲信越発】
■福島県桧枝岐村と群馬県片品村および新潟県湯之谷村は、尾瀬の自然環境をゴミの焼却で発生するダイオキシン汚染から守るため、尾瀬でのゴミ焼却を2002年度から中止することを決めた。
高層湿原で知られる尾瀬では、観光シーズンに約44トンの廃棄物が出ており、空き缶などの不燃物はつぶしてふもとまで運びおろしているが、それらを除いたゴミは、山小屋のあるエリアごとに設置されている小型焼却炉8基で燃やしている。しかし、小型焼却炉はダイオキシンの発生量が多いことが指摘されていた。
このまま小型焼却炉で処理し続けると、尾瀬の土壌などを汚染する恐れがあることから、焼却を中止することにした。今後は、ゴミを「ストックヤード」と呼ばれる保管所で一時保管、ヘリコプターで月に1〜2回、ふもとまで運んで各村が処理する。
複数の自治体が共同で国立公園内のゴミ焼却を中止するのは全国で初めて。
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【関東/甲信越発】
■東京電力柏崎刈羽原発へのプルサーマル計画導入をめぐる住民投票で、反対が過半数となった結果を受け、新潟県刈羽村の品田村長は5月28日、「刈羽村はプルサーマルにノーの意思表示をしたとわたしも理解している。受け入れについて今まで以上に慎重に対処しなければならない」と述べ、当面、受け入れない考えを示した。
また5月29日、村長は東京電力の社長を訪ね、双方「厳しい状況だ」との認識で一致し、当面の計画見送りを確認した。新潟県知事と柏崎市長も同様の認識だ。
1999年に刈羽村が東電との間で行なった事前了解を撤回するかどうかについては、村長は明言を避けているが、村議会では「計画反対」の決議案を提案し、プルサーマル計画を封印する方針を固めた。村議会が招集されれば、決議案は賛成多数で可決の見通し。
プルサーマル計画とは、使用済み核燃料から抽出したプルトニウムに、ウランを混ぜ、混合燃料(MOX燃料)を作って通常の原発で使うというもので、「もんじゅ」の事故で高速増殖炉による核燃料サイクル構想が事実上崩壊したことからにわかに浮上。2010年までに16〜18基の原発で実施する計画を国と電力業界が打ち出した。
しかし、MOX燃料の製造データねつ造問題が発覚するなど、地元住民のみならず国民の多くが、この計画について不信感を示しているのが現実で、柏崎刈羽原発の他に実施が予定されている福井県の関西電力高浜原発、福島県の東京電力福島第一原発についても、地元住民の多くが「実施見送り」もしくは「中止」を要望しているのが実情。5月27日に新潟県刈羽村で全国で初めての原発でのプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票行なわれ、反対票が過半数超えの53・40%に達し、原発でのプルサーマル計画に刈羽村民は「ノー」の判断を下した。
投票総数(3605)のうち「反対」1925票、「賛成」1533票、「保留」131票、「無効」16票。
この結果に法的拘束力はないが、住民投票条例では過半数を得た民意を住民の判断として認め、投票結果を尊重するよう定められている。
有権者総数4090に占める「反対票」は47・07%だが、投票者総数3605に占める「反対票」は今回、半数を超えた。このため、国および東京電力が計画を推進しようとする柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画は、事実上困難となった。
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【関東/甲信越発】
■新潟県巻町の町長が原発建設予定地内の町有地を反対派住民らに売却したのは違法として、推進派町議らが町長と土地を購入した反対派住民らを相手に所有権移転登記の抹消などを求めた訴訟の判決が3月16日、新潟地裁で言い渡され、裁判長は「町長が随意契約で土地を売却したのは適法」として、原発推進派の請求を棄却した。
町長は99年8月、原子炉の炉心予定地付近の町有地743平方メートルを反対派住民ら計23人に随意契約で売却して所有権移転登記をした。これに対して推進派町議らは「原発建設阻止を目的とした売却で町長の裁量権を逸脱している。秘密裏に随意契約を交わしており違法」などとして提訴していた。
今回の判決で新潟地裁は「住民投票の意思を尊重した政策に基づく売却であり適法」とする町長や反対派住民の意見を支持し、町長の裁量権を逸脱した行為ではないと認定した。
巻原発は東北電力が建設計画をすすめているが96年に実施された全国初の住民投票で反対票が6割を超えるなど、建設計画が凍結されているが、今回の判決で建設計画の実現は確実に遠のいた。
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【関東/甲信越発】
■企業による環境汚染が今もあとを断たないなか、埼玉県大宮市の大正製薬大宮工場で敷地内の地下水から環境基準値の2700倍という高濃度のトリクロロエチレンと1000倍のテトラクロロエチレンが検出されていたことが2月6日、わかった。
大正製薬は昨年9月〜11月の調査で確認しながら、これを公表せず、今になって大宮市に報告した。市はこれを受け、早期に汚染除去対策をとるよう要請すると共に、工場周辺500メートル範囲の井戸水調査を開始した。
同工場は98年7月の県内一斉の土壌調査で汚染が判明し、市の行政指導を受けていた。2000年1月から井戸などの水質調査を実施した際にも高濃度の地下水汚染が相次いで確認されていた。
「たれ流しているのではないか」との住民の声に対し、同社では「ドラム缶に保管していたものがこぼれたのではないか」としているが、誰も信用していないのが現実。
同工場では、薬の製造過程や製造機械の洗浄にトリクロロエチレンなどを使用していた。病気の治療薬を製造販売する会社が、病人を作り出しかねない地下水汚染をする。なんとも愚かな日本らしい企業姿勢は、21世紀を迎えても健在のようだ。