◆列島縦断ニュースハイライト◆
【沖縄発】
■市の情報公開条例に基づいて那覇市長が、自衛隊の対潜水艦戦作戦センター(ASWOC)建築の資料公開を決めたことに対して、国が異議を唱えて公開決定を取り消すように求めた行政訴訟で、最高裁第2小法廷は7月13日、国の訴えそのものを不適法と判断し、上告を棄却する判決を言い渡した。
地方自治体の情報公開を、国が国益の保護を盾に裁判で止めようとした初のケースだが、第2小法廷は、訴えそのものの適否について「裁判で解決すべき問題ではない」との判断を示し、国の原告適格そのものを認めない判決を下した。
ちなみに一審の那覇地裁判決は「原則として国などの行政主体は、個人の権利救済が目的の抗告訴訟を起こすことはできない」として国側の訴えを却下。二審の福岡高裁那覇支部判決も「市長と国の権限が抵触しているが、こうした紛争は関係行政機関内部で処理し解決される問題で、裁判所で解決すべき『法律上の争訟』には該当しない」として国側の控訴を棄却していた。
一、二審判決を不満として国側が上告し、「資料が公開されれば警備上の支障が出て、外部の敵から攻撃される恐れがある」「支障を生ずることが明らかな情報は非公開にできるとしている那覇市の条例の条文からみても、国は、防衛に関する情報公開の取り消しを求めることができる」との解釈を主張していたが、最高裁第2小法廷は、公開対象となる資料が防衛上の秘密に当たるかどうかの判断を避け、「事例によっては訴訟として扱うことも可能」としながらも、「那覇市の情報公開条例の条文には国側が非公開を求める利益を保護する趣旨が含まれているとは解せない」「国側が主張する建物所有者としての利益は、那覇市の情報公開条例では、個別的な利益として保護されない」などと述べて、原告適格そのものを認めない、いわゆる「門前払い」の判断を下した。国の敗訴が確定したことから那覇市は、ASWOCの建築資料を公開するが、資料の公開を市民が求めたのは1989年。国は、市民の知る権利に対応せず、迅速さとはまったく逆の横ヤリを入れて公開を遅らせるという手法で、いたずらに歳月を浪費した。
対潜水艦戦作戦センターは、海上自衛隊の対潜哨戒機がとらえた潜行中の潜水艦情報を集めて指揮管制や作戦指令に活用する施設で、那覇のほかに、八戸、厚木、鹿屋(鹿児島)の3基地にある。
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【沖縄発】
■在沖縄米軍の空軍軍曹による婦女暴行事件が起きた沖縄県北谷町では7月3日、臨時町議会が開催され、米軍基地の沖縄への集中配備を抜本的に見直すことなどを求める抗議決議案を可決した。
抗議決議は、暴行事件について「野獣のような行為に対し、満身の怒りを持って厳重に抗議する」としたうえで「米兵の犯罪が絶えないのは、沖縄県民に対し占領意識を持ち続けているためだ。国土のわずか0・6%にすぎない沖縄に、全国の米軍専用施設の75%という過密な集中配備がその根元にあることは明白だ」と、厳しく指摘した。
「米空軍兵士が女性を暴行するという人権を蹂躙(じゅうりん)する凶悪な犯罪で、断じて許せない。事件・事故のたびに綱紀粛正の徹底を米軍に申し入れているにもかかわらず、また事件が発生したことは極めて遺憾であり、米軍に強く抗議する」と表明した稲嶺知事も7月3日、防衛庁を訪れて中谷長官に「事件が起こり、県民は胸を痛めている。抜本的な対策が必要だ」と事件対応への全面的な協力を求めると共に、国、県、米軍などで事件防止のために協議するため発足したワーキング・チームの在り方にも触れ「実効性あるために、もっと掘り下げた効果的な運営を講じてほしい」と要請した。
沖縄県議会も7月5日、本会議を開き、「相次ぐ事件は、本県に米軍基地が集中していることに起因している」として、 米軍基地の一層の整理縮小、海兵隊を含む米軍の兵力削減などを求め、日米地位協定を抜本的に改正することなどを要求する抗議決議、意見書を全会一致で可決した。
沖縄での米軍の犯罪、事件、事故はあとを絶たず、慣例化し、放火、車上狙い、器物損壊、婦女暴行などに対する米側の対応もマヒしているのが実情だ。
※衆院外務委員会は7月10日、起訴前の日本の身柄拘禁権を制限する日米地位協定の「改定」について協議したが、最終的に「改定」要求はせず、運用改善も含めた「見直し」を政府に求める玉虫色の決議を全会一致で採択した。
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【沖縄発】
■1970年代後半にサトウキビの害虫コガネムシからの被害を抑えるため、天敵として沖縄県石垣島に持ち込まれたカエルが今、西表島でも繁殖をはじめ、希少野生生物イリオモテヤマネコが被害にあう可能性が懸念されるようになった。
イリオモテヤマネコは、周知のとおり、世界で西表島だけに生息する希少野生生物で、現在、約100匹が生息するとされている。
ところが最近、サトウキビに対する害虫駆除目的のために持ち込まれたオオヒキガエルが、船荷などに紛れ込み、船荷とともに西表島に入って繁殖していることが、環境省の調査などで判明した。単なるカエルなら別に害はないが、このオオヒキガエルは強い毒を持ち、毒液をカエル自らが耳せんなどから分泌し、生物を死に至らしめるという不気味なもので、比較的標高の低い地域に生息しているイリオモテヤマネコがその被害にあう可能性が高いとされている。
このカエルが持つ毒性は、毒液が人の目に入ると失明し、ほ乳類などが食べると死ぬ危険もある、というもので、体長15センチ前後のオオヒキガエルはもともと国内にはいなかった南米原産のカエル。
環境省西表野生生物保護センターは、地元にも協力を求めて駆除対策に乗り出したが、サトウキビの害虫コガネムシを駆除する目的で導入された天敵が、意外な弊害を及ぼしはじめたことで動揺が広がっている。
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【沖縄発】
■沖縄県議会は1月19日の臨時議会で、海兵隊など沖縄に駐留する米軍兵力の削減を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。
在沖米軍海兵隊の強制わいせつ事件対策(1月9日、沖縄本島北部でキャンプ・ハンセンに所属する海兵隊員が、道端に座っていた女子 高校生のスカートをまくり上げて写真を撮影し、強制わいせつ容疑で逮捕)について「厳重に抗議してきたにもかかわらず、またしてもこのような事件が発生したことは断じて許せるものではない。繰り返される事件防止には海兵隊の兵力削減が最善」とし、「海兵隊を含む兵力の削減」「綱紀粛正」「兵員に対する教育を徹底」「再発防止について万全を期す」の4項目を明記した。日米の関係機関に要請するが、抗議決議の要求項目に「海兵隊を含む兵力の削減」を盛り込んだのは県議会史上初めて。
県議会は97年に「海兵隊」の文言を盛り込んで「兵力削減」を求める決議を行なったが、当時の自民党が難色を示し、最終的に「海兵隊」の文言を外した経緯があるが、今回は、自民党を含む与党側からも「県民支持を得るためには海兵隊の文言を入れての削減要求は避けられない」との意見が相次ぎ、与野党が一致した。