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【北陸/東海/中部/近畿発】
■MOX燃料の検査データねつ造が発覚し頓挫していたプルサーマル計画、高浜原発で再開へ。
1999年にMOX燃料の検査データねつ造が発覚し、頓挫していた高浜原発のプルサーマル計画(プルトニウム混合燃料の利用)が、地元の福井県高浜町および福井県が再開を容認する姿勢を示したことから、実施に向けて動きだすことになった。
福井県知事が高浜町長の意向を確認した後、関電に対して計画の再開および燃料製造を正式に了承する。燃料加工の品質保証に関する再発防止策について立ち入り検査を実施した経済産業省原子力安全・保安院は、再開を既に承認しており、これを受けて原子力安全委員会も2004年3月11日に了承している。
2007年度のプルサーマル実施を目指す関電は、3月中にも海外のメーカーと燃料加工契約を結ぶ意向を示している。
関西電力が福井県高浜町の高浜原発3号機・4号機で導入を予定していたプルサーマル計画については、福井県が1999年6月17日、正式に受け入れを決めて最終了承し、プルサーマルのスタートが決まっていた。順調に進めば、関電は、この他、大飯原発での実施計画も立てていた。しかし、欧州から輸送されたMOX燃料で検査データが、製造元のイギリス核燃料会社(BNFL)でねつ造されていたという問題が発覚。安全性に対する懸念が拡大し、計画そのものについて大幅な見直しが必要になった。
このたため、関電は、MOX燃料輸送容器や燃料加工の品質保証に関する承認作業をやり直し、開始を先送りしていた。プルサーマル
プルサーマル計画とは、事故で見通しが立たなくなった高速増殖炉に代わる国の核燃料サイクル政策の一環として存在するもので、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を一般の原発で燃やすというもの。当初、電力業界は2010年までに16〜18基の原発で導入を計画した。
プルサーマルの一番の問題点は、原子炉内の核反応を調節する制御棒の利きが低下し、制御が不安定になるということ。原子炉安全専門審査会でも、制御棒の利きの低下を認識している。しかし、「制御が不安定になることはない」とするのが推進を前提にした審査会の見解だ。またさまざまな事故を想定した場合、周辺住民の被ばくの危険も指摘されているが、これに関しても「被ばくの危険は小さい」と審査会では結論付けている。そして、原発燃料としてプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料だけを使う「フルMOX」を前提に設計した改良型沸騰水型炉(ABWR)の安全審査についても、国の原子力安全委員会は「フルMOXでも炉に与える影響はほとんど変わらない」として「審査基準を変える必要はない」と結論づけている。
原発の燃料はウラン燃料を使用するが、プルサーマルでは、ウラン燃料にプルトニウムとウランの混合酸化物のMOX燃料を混ぜて使用する。しかし、フルMOXはMOX燃料だけを原発の燃料として使用するもので、ウラン燃料に比べてプルトニウムが多いMOX燃料は、原子炉内で核反応が進みやすく、制御に大きな問題が残る。そのため、世界ではフルMOX燃料使用の原発稼働を見合わせているのが実情だ。
原子力安全委員会が「現行の原発の安全評価審査指針で充分」と、時期尚早の結論を出した背景には、電源開発が青森県大間町ですすめる大間原発からの「フルMOX」燃料使用が計画として存在しているからで、この結論は、あらかじめその計画を認めることを前提に出されている。
プルサーマル計画についての国民の関心や問題意識は比較的希薄なことから、一度動き出すと、なし崩し的に進んでいきそうだ。
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■自給エネルギー資源を求め、遠州灘などで個体メタン調査始まる。
日本が自給できるエネルギー資源として開発計画を立てている海底面下にある固体の「メタンハイドレー ト」の本格的な調査が2004年1月21日から始まった。
将来の商業利用に向けた国内初めての本格的な調査で、静岡県の遠州灘から三重県の熊野灘海域が対象。ここには、日本近海の埋蔵量の20%が存在していると推定されている。メタンハイドレートの開発計画は、経産省が2001年に策定した。日本近海の埋蔵量は約7兆4000億立方メートルとされ、日本の天然ガス使用量の100年分に相当すると言われている。
今回の調査は経産省、石油公団から委託を受けた石油資源開発と帝国石油の共同企業体が、4カ月かけて16地点の海底面を掘削し、メタンハイドレートの存在の有無や埋蔵の範囲や分布の形状を確かめるため地層サンプルを採取するが、具体的な調査活動はアメリカ企業が持つ専用の掘削船が、愛知県の蒲郡港を拠点に実施し、高さ約60メートルの「やぐら」からドリルを地中深く下げる。
しかし、発掘したとしても、この海底面下にあるメタンハイドレートを溶かしてガス化するのは難しく、気体(メタンガス)として地上に取り出す技術は確立されていない。温室効果が高いメタンガスが海面上に漏れ出すと、地球温暖化につながる厄介なものとなるため、実用化に至るまでには幾重もの技術的ハードルをクリアーする必要がある。
計画では、2006年度までに埋蔵量の調査、2011年度までに生産技術などの基礎研究、20016年度までに商業化の可能性を調べる。
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