◆列島縦断ニュースハイライト◆
【東北発】
■福島県知事、原発のプルサーマル実施「ノー」の意思表示。
福島県の佐藤知事は2004年3月23日、原発のプルサーマル計画(プルトニウムとウランの混合酸化物MOX燃料を軽水炉で利用する計画)について、「2002年9月の白紙撤回で、なかった状態に戻っている」として、東京電力が進める原発でのプルサーマル実施を、今後も認めない考えを明らかにした。
最近、福井県が関西電力が高浜原発で計画するプルサーマルを了承したため、他の原発立地県においても了承がなし崩し的に行なわれるのではないのかとの懸念がでていた。
プルサーマル計画は、関電のほか、九州電力が佐賀県の玄海原発で、日本原子力発電が福井県の敦賀原発で、それぞれ実施する意向を示しているが、福島県知事は、「白紙撤回は当時の県民世論を代表したもので、その気持ちは今でも変わらない」と、明確に原発のプルサーマル実施に「ノー」を示した。東京電力が福島県大熊町の福島第一原発3号機でプルサーマルを計画し、福島県は1998年に事前了解をした。東電は2000年11月に、2001年春の定期検査の際に原子炉にMOX燃料を入れるとの見通しを示すと共に、新潟県柏崎刈羽原発3号機でも2001年に実施予定とした。しかし、その後、茨城県東海村臨界事故や関西電力でのMOX燃料データ改ざん問題などが発生したため、2001年に福島県が実施を拒否し、2002年8月の東電による原発でのトラブル隠しを受けて、完全に白紙撤回した。
今回、改めてその姿勢を強調したが、その背景には、核燃料サイクルを含むエネルギー政策全般に対する不信感や、東電が県に正式な申し入れをしないまま進めた福島第一原発7、8号機の増設計画に対する嫌悪感も存在しているようだ。
新潟県の平山知事も柏崎刈羽原発でのプルサーマルについて「白紙状態」を表明していることから、東電のプルサーマル計画は今後も見通しが立たない状態となった。
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【東北発】
■東京電力がむつ市関根地区に建設を計画する使用済み核燃料中間貯蔵施設、立地協力要請に青森県知事難色。
東京電力がむつ市に国内で初めて建設を計画している使用済み核燃料中間貯蔵施設について、東電社長が2月18日、青森県庁に三村知事を訪ねて立地協力を要請したが、知事は、「再処理施設の健全性、品質保証体制の確立が最優先。取り組みを見極めた上で初めて、協力要請の検討に着手する」と表明すると共に、六ケ所村の再処理工場で不正溶接が次々に発覚した問題が解決していないことから、「再処理工場の稼働にめどが立つまでは、新たな中間貯蔵施設などの検討は進めないし、現状では検討しない」と難色を示した。
東電は2003年4月11日に、貯蔵規模3000トンの施設を2棟建設し、他の電力会社と共同で運営会社を設立するなどとした事業構想を杉山むつ市長に提出。むつ市長は2003年6月26日の市議会本会議で正式に誘致を表明した。
東電は知事の同意を得て、国に事業許可を申請し、経済産業省と原子力委員会、原子力安全委員会の審査を経て事業許可を受ける予定だったが、県民の原子力に対する不信、不安が高まっているなかでは困難な情勢だ。
計画では、建設地はむつ市北部の関根地区で、キャスクと呼ばれる円筒型の金属容器に収めた使用済み核燃料3000トンを保管できる施設1棟を2010年までに建設。その後、10年以内をめどに同規模施設を1棟建設する。5000〜6000トンを貯蔵する施設の貯蔵期間は50年。建設費は約1000億円でキャスク製造費が8割弱を占める。
年間200〜300トンの使用済み核燃料の搬入には、原子力船むつの母港だった日本原子力研究所の関根浜港を使用する。貯蔵量のうち東電の搬入分は約4000トンで、他社分は1000〜2000トンになる見込みだ。東電は他の電力会社との共同使用の可能性について、日本原子力発電から正式に参加表明を受けたことを明らかにしているほか、東北電力の参加に強い期待感を表明しているが、東北電力は「事業が円滑に進むよう理解を求める活動などは協力したい。だが、共同設置や利用などは現時点で具体的に検討していない」としている。
東電は「建物自体は100年ぐらいもつが、貯蔵期間50年の延長は考えていない」としながらも、50年貯蔵した後の搬出先について「原則的には六ケ所(青森県)の再処理工場だが、確たる計画は持っていない。40年、50年先にどういう問題が出てくるのか不確かな部分も多い」と見通しが不透明なことを認めていることから、地元住民の間からは永久貯蔵を懸念する声があがっている。また反対派は「2棟では終わらないし、増設だけでも終わらない。50年のうちにこれ以上の施設がくる」と警鐘を鳴らしている。
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