◆列島縦断ニュースハイライト◆
【全国ワイド】
■平成の市町村大合併、見えぬ道筋「とりあえず」支離滅裂。
財政上の優遇措置を盛り込んだ合併特例法が99年7月に成立して以降、市町村に於ける「平成の大合併」が本格化した。市町村合併は2005年3月にピークを迎えるが、合併が完了した地域をはじめこれから合併する地域や合併そのものを拒否する地域など、全国各地でのドタバタ劇もピークを迎えている。
合併後の新市名を中部国際空港(セントレア)にちなみ「南セントレア市」と決めたことで批判を呼んだ愛知県美浜町と南知多町では、合併の是非を問う住民投票と、新市名を決めるアンケートが行なわれ、住民投票では2町とも合併反対が上回り、合併そのものが白紙に戻った。
両町の法定合併協議会は3月に県知事あてに合併申請書を提出する予定だったが、行政主導の合併推進に反発した両町の住民団体が、署名を集めて住民投票の実施を直接請求した。
合併の是非を問う住民投票の結果は、美浜町が反対1万878票、賛成3384票、南知多町が反対8063票、賛成4701票。投票率は、美浜町が72・79%、南知多町が68・87%だった。
新市名では、合併協が市名を一般公募で求めておきながら、公募案にはない「南セントレア市」と決めたことで、地元住民ばかりか全国から批判が続出し、仕切り直しの新市名を決めるアンケートが行なわれた。
結果、公募上位11位までと「南セントレア市」を加えた12案から住民が選んだ新市名では、「南知多市」が1万296票で最も多く、3位の「南セントレア市」の1988票の5倍を超えた。
合併賛成と反対に拘わらず住民を無視したやり方に怒りが表れた。
単に新市名論争で終わっておけば、合併の可能性もあったが、これにより合併協議会自体が解散を余儀なくされ、新市名どころか合併そのものが消滅した。合併を終えた市町村では、旧市町村区域でのゴミ収集方法の違いのまま合理化も図られず日常が過ぎていく地域もあれば、市町村職員配置も人員もほぼ変わらぬままに旧態勢で日々流れていく地域もあるのが現状で、合併を機にダイナミックに刷新を図ろうとする市町村は、ほぼ皆無と言っていいのが実態でもある。
新市町村名においても、これまでの地域特性を生かし、且つ未来につながるネーミングというものも少なく、全国おしなべて無味乾燥が多く、活気や覇気のない合併がなし崩し的に進んでいる所が圧倒的多数だ。
近年芽生え始めていた住民主体の地域自治や活性化の取り組みも、これによりさらに後退することが必至の情勢で、住民の意向を無視した行政主導の型にはまった取り組みは、現状を硬直化させるばかりか未来に向けての弊害の典型であることがより一層、鮮明になるばかりである。そんな中でも進む合併で、1999年4月時点の市町村数3229は、延長された合併特例法の優遇措置適用の最終期限となる2006年3月末時点では約1900弱になる見通しで、平成の大合併は、これからが最後の追い込みだ。
合併も悪くはない。首長も議員も職員も市町村住民も等しく、少子高齢化や過疎、地域経済の停滞の深刻さは知っている。地方財政の深刻さも、行政関係者だけが認知している時代でもない。しかし、特別昇給を順送りで実施している自治体も多いなど、国も地方もまだまだ無駄使いしている面が多いということも周知の事実だ。地域も国も国民も崖がけっぷちに立っている。みんな同じだ。
だったらこの際、一層のこと、政府、政党、省庁、県、市町村、利害組織、それにかかわるすべての人たち。それをガラガラポン、と、白紙にし、あっさり一からやり直した方が、合理的かつ効率的なのかも知れない。