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■全農(全国農業協同組合連合会)が、子会社等との間での取引を利用して法人所得等を圧縮していたことが、東京国税局の税務調査で分かり、国税局は、経理上の期間損益分は所得隠しに当たるとして、全農に対して追徴課税していた。
 全農は97年6月の決算期末に、仕入れ値より大幅に安く子会社に売却し、翌98年の決算期までに再び同社から売却価格と同じ価格で買い戻すという奇妙な取引を実施していた。
 それらを国税局で調べたところ、仕入れ値より安値で売却することで期間損益を発生させ、課税対象となる法人所得を意図的に圧縮していたことが分かった。東京国税局は、そこで発生させた約3億円の期間損益は、課税対象となる法人所得を圧縮する経理操作だったと判断。全農に対して、97年6月期までの3年間で総額約9億円の法人所得の申告漏れを指摘した上で、約4億円分は所得隠しに該当するとして追徴課税した。全農側はすでに、重加算税を含め3億円余にのぼる追徴税を納付している。
 農協(農業協同組合)の全国組織として農産物流通・販売がらみの経済行為を組織的にほぼ独占する全農は1990年、青果物用段ボール箱のシェア拡大を実施した際にも公正取引委員会から独占禁止法違反の疑いで排除勧告を受けているが、子会社等との取引を利用した経理操作での所得隠しが発覚したのは今回が初めて。


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■長崎県では、宮島滉組合長(元参議院議員)が、組合長の立場を利用して本人が経営する不動産会社に「させぼ農協」から8億2100万円の融資を引き出し、回収不能になっている問題で、福岡県警金融・不良債権関連事犯特別取締本部が、担保価値に疑問のある融資があったとの見方を強め、同農協や組合長宅や融資を受けていた不動産会社「ジェイ・エイ・ホーム」などを背任容疑で家宅捜索した。
 福岡県警の捜索を受けた「させぼ農協」の宮島滉組合長は、これを受けて「青天のへきれき。組合員に心痛をもたらしたことは私の不徳の致すところで、おわび申し上げたいが、容疑については全く心外で、不正融資を決裁した覚えはない」「不正があれば責任をとるが、不正とは思っていない」と、辞任の意向もなければ不正の自覚もないことを表明した。
 この無責任体質に組合員から批判が続出したため、10月23日の同農協定例理事会で辞意を表明せざるを得なくなり、全会一致で引責辞任が承認された。

 また大阪府では、JA泉南市(大阪府泉南市)から不動産会社「辻野産業」代表で同農協の辻野源治理事(公正証書原本不実記載容疑で逮捕)に、約5億円が担保不足のまま融資されていた問題で、大阪地検特捜部が、背任容疑で和歌山市役所と市土地開発公社の捜索を始めた。
 特捜部の調べや和歌山市議会で明らかになったところによると、和歌山市の尾崎市長らは1996年3月、和歌山市内の山林を開発する「和歌山市磯ノ浦国際舞台芸術ビレッジ構想」を辻野理事から持ちかけられ、国の事業認可が受けられることなどを条件に、辻野理事所有の土地を買うとする内容の証明書を発行した。JA泉南市はこの証明書を担保にして辻野理事に約3億2000万円を融資し、全額が未回収になった。
 今回の和歌山市役所と市土地開発公社の捜索は、辻野理事が不正融資の担保に使った市土地開発公社事務局長名義の「買い付け証明書」の発行状況を裏付けるために行なわれた。特捜部は辻野理事らを背任の疑いで再逮捕する。

 札幌市の旧新琴似農協(現在は合併して札幌市農協)の乱脈融資事件で、回収の見込みもないのに不動産会社「ロイヤルリゾート」元社長と共謀し、同社の手形などの決済資金総額約1億9700円を無担保で立て替えると共に約1億1050万円の融資を無担保で行ない、約3億円を不正融資したとして、背任罪に問われた元同農協金融部長正井邦彦被告(51)に対する判決公判では、同被告に懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役3年)が言い渡された。
 被告弁護側は「融資は農協の利益を図ったもので、背任の故意も共謀もない」と起訴事実を否認していたが、裁判所は「当時の組合長や専務理事の指示で融資が実行されていたとしても、融資の対象となったゴルフ場計画は、具体性も実現性も乏しく、農協に損害を与えることは明らかだったし、担当部長として反対すべき責任があった」として、弁護側主張を退けた。

 この他、共済金横領事件や農協貯金の使い込み事件など、あちこちで農協不祥事がいろいろな形で 続々と明るみに出始めている。


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■農水省が、国会議員に便宜を図るために、国会で審議中の補正予算案(72億円計上の「山村等振興対策事業」で総事業費114億円規模)について、地方自治体の要望を衆院小選挙区ごとに整理して、国会議員に事業情報の提供をし、公共事業の個別配分を農水官僚とその族議員が結託して行なおうとしていたことが、参院行財政改革・税制特別委員会で指摘され、判明した。調査をしていたのは土地改良などの公共事業を取り仕切る農水省構造改善局の中山間地域活性化推進室で、補正予算案が提案された5月11日、全国にある七つの地方農政局に、各管内の自治体の要望を選挙区名を記入して調査するように依頼。調査集計したものを事前に選出の族議員に提供し、発覚しなければ、予定では、その情報を元に族議員が地元業者間の調整に動くなど、政治的な影響力を行使しやすくするように便宜を図ろうとしていたもの。

 発覚した今回の事例は氷山の一角で、建設省同様のこうした政官財癒着の構造は、農水省でも日常茶飯事のように見受けられるようだ。


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■国有林野事業改革関連法が施行され、経営が破たんした林野庁の再建計画が動き出した。3兆8000億円に上る巨額の累積債務のうち2兆8000億円を一般会計に引き継ぎ、残る1兆円は50年計画で自力で返済する予定だ。また、財政投融資資金の830億円を返済するために、初めて農林中金を筆頭に民間金融機関などから長短期合わせて830億円の民間資金を借り入れ、その処理にまわす。人員合理化では、現在の職員1万5000人を3分の1程度に削減するのが当初の方針だったが、全林野労組などの反対があり、まだ最終決定に至っていない。組織面では、現行の14営林局・支局を七つの森林管理局にまとめ、229の営林署は98の森林管理署14支署に再編する。また、林野の売却と木材販売を増やして収益を上げ、一部業務の民間委託にによる経費削減を見込んでいるが、「50年での清算計画」は難航しそうだ。


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■世界最大の穀物商社『カーギル』は、1997年12月に会社更生法を申請して事実上倒産した食品商社『東食』(東京都中央区)の会社再建を支援すると発表した。外国企業が更生会社の支援者となるのは初めて。世界の穀物流通に絶大な影響力を持つカーギルは、これまで日本市場では商慣習や複雑な流通網が障害になって苦戦を続けていた。今後は、食糧や食品取引でのノウハウを持つ東食を傘下に収め、事業拡大を目指したい模様だ。


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■米の強制減反および転作誘導で、水田転作による大豆生産が増加した。作付面積は10万9000ヘクタールで10万ヘクタールの大台に復帰したのは1992年以来6年ぶり。しかし、捨て作り的な栽培取り組みも多く、予想収穫量は前年より4万5600トン多い16万7200トンが見込まれているが品質は悪い。本来の畑作大豆の作付面積は、高齢化による労働力不足で昨年よりも400ヘクタール減って2万9000ヘクタールになっている。またあちこちのJAが農水省の指示に従って大豆転作に誘導して減反を実施したが、大豆転作農家は増産による価格低下の影響を受けはじめている。ちなみに1997年産大豆の販売価格は60キロ1万円を割り、8500程度になっている。98年産は年明けから出回るが、さらに販売価格は低下する。


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■全国公正取引協議会連合会が公取委関連の消費者モニター500人を対象に「表示」に対する意識調査をした結果「消費者は、農産物を購入する際の判断基準として無農薬や有機栽培などの表示への関心は高いが、その表示に対してはあまり信用していない」という報告をまとめた。「無農薬」表示では「関心あり」が55%、「購入選別の判断基準にする」が77%と関心度は高いものの、「表示を信用する」は12%。また「有機栽培」表示でも「関心あり」が49%、「購入選別の判断基準にする」が72%とこれもまた関心度は高いものの、「表示を信用する」は13%と、表示そのものに不信感をにじませている調査結果になった。


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