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全農が重大な信義違反、鶏肉偽装。

 全農(全国農業協同組合連合会)の子会社「全農チキンフーズ」(埼玉県戸田市)による鶏肉偽装問題で、同社が抗生物質入りのエサで飼育された国産鶏肉など計約233トンを、「抗生物質無使用」「完全無薬」の「鹿児島産鶏肉」だと偽って、コープネット事業連合(首都圏6生協加盟、組合員総数約210万人、本部=さいたま市)に出荷していたことがわかった。

 全農チキンとコープ側は2001年2月、鹿児島産の「無薬飼料飼育産直若鶏」のモモやムネなど精肉5品目、「からあげ」など加工品4品目を加工会社「鹿児島くみあいチキンフーズ」(鹿児島市)から納入することで合意した。しかし、その後、原料の鶏肉が足りないことがわかり、全農チキンの首都圏支店営業部長ら幹部が、抗生物質を使った鶏肉で不足分を補うことを決めた。偽装は2001年4月から2002年4月まで続けられた。
これまで同社は、偽装について「BSE(狂牛病)による需要急増のための欠品対策」としていたが、偽装がBSE発生前の昨年4月から行なわれていることから、偽装が常態化していたことが判明した。

 「完全無薬」をうたう商品は55日間の飼育期間中、全く抗生物質を使わないえさを与えた鶏を使う。だが、もも肉でみると「完全無薬」の方が1キロあたり40円高いことから、出荷前34日間に限って抗生物質を使わないえさを与える「長期無薬飼育」と呼ばれる鶏を混ぜて偽装していた。

 購入者のコープネット事業連合に匿名で「国内産の鶏肉に外国産が混じっている」と指摘する連絡が入り、コープ側が全農チキン側に伝えたが、全農チキンは現地調査もせずに「そうした事実はない」と回答。コープ側が5月に入って鹿児島の工場などを調査して工作が発覚した。このため、コープネット事業連合は全農チキンとの取引を中止した。

 全農の大池裕会長は、今回の問題の真相解明ができ、再発防止策が整った時点で、任期満了(今年7月末)を待たずに引責辞任する考えを明らかにしている。
 全中(全国農業協同組合中央会)や全農など、JAグループは、雪印食品の牛肉偽装事件で雪印乳業を支援するため、牛乳関連事業で全面的に提携する方針を明らかにしているが、「偽装が日常の全農が、雪印乳業の再編・統合に乗り出すと、嘘で固めたとんでもない偽装集団が誕生する」と心配する声があがっている。
(02・5/7)

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農水省、ブレンド米で表示の規制強化へ。

 農水省は、複数の銘柄を原料とするブレンド米について、一部の有名銘柄を強調する表示が消費者に誤解を与えているとして、米表示の規制を強化することを決めた。4月中にも玄米と精米品質表示基準を変更する告示を行ない、2002年産米が出回る秋までに適用する。

 現在、ブレンド米は「複数原料米使用」などの表示が義務づけられている。しかし、文字の大きさについての規制がないため、実際には 有名銘柄が10%しか含まれていないのに「○○産コシヒカリ」などと袋に大きく表示し、消費者の誤解を招くケースがあった。これを回避するために精米品質表示基準を変更する。

 しかし現実には、農産物表示は、鶏肉産地偽装の全農問題、豚肉産地偽装表示の単位農協問題、牛肉産地偽装表示の加工業者問題、青果物産地偽装の卸業者問題、雪印問題と、枚挙にいとまがなく、これら以上に米の偽表示は日常化。消費者から信用回復を得るのは至難の業、というのが現実のようだ。(02・4/6)

例その一)全農の鶏肉偽装問題=全国農業協同組合連合会の子会社「全農チキンフーズ」(埼玉県戸田市)は2001年11〜12月の2カ月で、品不足を補うため、首都圏支店営業部長が偽装を指示。コープネット事業連合向けに中国産など計約6トンの輸入鶏肉を鹿児島産と偽って出荷した。社内で偽装のうわさが流れ、2002年1月下旬、佐々木社長らが事実を確認。しかし、何の対策も取らなかったばかりか、社長らは「偽装なんてことは知らず、報道などでその事実を知った」とうその説明をしていた。
例その二)単位農協の豚肉産地偽装表示問題=茨城県玉里村の茨城玉川農協は、1989年から黒豚交雑種の「バークランド豚」と表示して出荷した製品に半分以上も産地不明の豚肉を使用。伝票などで数量計算できたのは97−2001年の5年間分で、バークランド豚として出荷した本物は5割にも満たなかった。
例その三)青果物産地偽装の卸業者問題=千葉県八街市の青果物卸業者は、2001年10月〜12月に、同県産のサトイモに中国産をまぜ、JAS法(日本農林規格)で義務付けられている原産地表示をせずに東京の市場に出荷。また千葉県干潟町の野菜卸業者は、地元産サトイモに、宮崎県や鹿児島県産をまぜて「ちば産」として東京などの市場に出荷していたことが、千葉県などの調査で判明した。

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農水省の仕事始めはゴリ押しでの国営諫早湾干拓事業再開?

 長崎県の国営諫早湾干拓事業で農水省・九州農政局は1月9日午前、同県高来町の小江工区(約100ヘクタール)の工事を再開した。

 農水省は8日、小江工区の工事を再開する予定だったが、漁業者が現地で抗議行動をしたことから、工事再開ができなかった。このため、漁業者が立ちはだかる正面ゲートとは別のルートからゲリラ的に重機などを積んだ工事車両5台を搬入し、排水ポンプを据え付けるための架設工事に入ったという。

 有明海のノリ不作の元凶と訴える漁業者のピケ行動で、昨年2月から本格的な工事が中断していた諫早湾干拓事業は、約10カ月半ぶりに動き出したが、「漁民をないがしろにするのもいいかげんにしろ」と、根本的に計画見直しを求める漁業者は怒りをあらわにしている。(02.1/9)

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農産物3品目セーフガード本発動、政府方針は回避へ。

 11月8日に暫定措置の期限が切れる農産物3品目(ネギ、生シイタケ、畳表)のセーフガード(緊急輸入制限)について、確定措置の「本発動開始か否か」で、政府方針が揺れていたが、11月25日に開いた臨時の関係閣僚会議で、農水・経済産業・外務らの閣僚は、正式発動への移行を急がずに中国との話し合いを優先させる方針を確認した。

 セーフガードの暫定発動では、中国が反発し、日本製の自動車などに報復関税を発動した。中国のWTO(世界貿易機関)加盟が目前にひかえていることもあり、中国がWTO未加盟のまま日本が輸入制限を本発動すると、一層の反発および報復を招きかねないとの懸念が財界などで高まっていた。
 これを受けて政府は、輸入制限農産物の主要輸出国である中国との協議を前提に、本発動回避に向けて輸出数量の管理などをめぐり駆け引きを繰り返す方針を固めていた。しかし、農水省は、農業団体などの要請を受けて「本発動ありき」を前提にした対応姿勢をのぞかせ、自民党農林水産物調査会なども、協議不調の場合は空白を置かずに本発動を、という決議をするなど、暫定措置期限切れを前に、まずは国内で「利害」をめぐる駆け引きが続いていた。

 国内の関係農家からの反発に対しては、農水省が来年度予算で400億円の対策費を充てることで解決を図る模様だが、農産物3品目をめぐっては、中国のWTO加盟もからみ、最終的な調整は難航が予測される。(01・10/25)

これまでの日中の協議および対応
 中国産の農産物3品目を対象に日本政府が暫定発動した緊急輸入制限措置(セーフガード)をめぐる日中政府間の協議は、双方の意見がかみあわず、平行線のまま、中国が報復措置で工業製品3品目(日本産の自動車・携帯電話・エアコンなど)に特別関税を課し、現行関税を加えた価格(乗用車180%、トラック150%、バス165%、エアコン140%、携帯電話112%)に、特別関税100%をさらに上乗せする報復措置を6月22日から実施。

 日本政府は4月23日から11月8日までの200日間、中国などからの輸入が急増している農産物3品目(ネギ、生シイタケ、イグサ)について、WTO協定に基づく暫定的なセーフガードを発動している。発動の根拠は、輸入急増による価格下落で生産農家が打撃を受けているため、というものだったが、背景には参院選挙をにらんだ農業票の確保という政治的判断もあった。

 セーフガード発動で、輸入価格と国内の卸売価格との差額を上限に最長200日間、関税を引き上げることができるが、対日批判を強める輸出国の中国に配慮し、過去の輸入実績を考慮して決めた輸入量までは、現行の関税率(ネギ3%、生シイタケ4・3%、畳表6%)を適用し、それを超えたものについて、国内産品との価格差分の関税を課す「関税割当方式」での実施。
 超過分に課す関税率は、ネギが256%相当(1キロ当たり225円)、生シイタケが266%相当(同635円)、畳表が106%相当(同306円)とした。
 現行の関税率で輸入できる割当量はネギ5383トン、生シイタケ8003トン、畳表7949トン。割当数量を超えると、超過分に課す関税率が加算される。 

農産物輸入は増加の一途
 財務省がまとめた2000年の貿易統計によると、輸入量は、野菜が過去最高の281万トンで、うち生鮮野菜は92万トンと、生鮮野菜輸入100万トン時代が間近になっている。生鮮野菜のなかでも特にシイタケ、ショウガ、ネギが40%近く増えて、中国からの輸入が急増した。急速に輸入が増えはじめたのは1998年以降で、その年の国内産の高値野菜から、国内の外食産業を中心に商社などが、安いアジア諸国からの輸入に積極的に転じたことも大きな一因になっている。

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