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●もうひとつの投票行動● 最近、選挙の投票率がますます低下傾向にある。テレビなどのニュース&ショー&コメント番組では、政府広報の肩代りでもするかのように「投票に行く義務や責任」を語り「投票しなければ国は良くならない」と、ゴモットモのコメントを毎度のように挿入する。
果たしてそうか? 昨今の投票率の低下は、無関心層も関心層も含め、「もう、旧態依然とした議会制や政治能力にはうんざり」という明確なブーイングと不信任いう意志表示の現われでは?
議員選びという選挙投票率は低下しているにもかかわらず、地域の問題や物事の是非を問うための「住民の直接請求」=住民投票条例を制定する動きは、圧倒的に増加傾向にあるし、その条例に準じた住民投票の投票率は(現在はまだ、この投票結果の法的拘束力はないとはいえ)議員選びのための選挙投票率よりも高い。
国会議員、地方議員を含め、多すぎる議員選びのための選挙。それに背を向ける行為を、「国民の義務や責任の放棄」と言い切るのは、あまりにも短絡的。議員選びの選挙に「投票しなければ国は良くならない」と言い続ける発想そのものが、もはや時代遅れと言えなくもない。
議会制民主主義から脱して国民制民主主義へ到達する道は依然として遠いものの、「何事も、地域で物事を決める時は住民投票、国の重大事を決める時は国民投票」。不十分な議会制と直接制を相互に補填し合い議論を喚起する。それも打開策の一手と、発想が切り替わっていく時代の節目に今、私たちはいる。そして、旧態依然とした日本型システムやメカニズムを解消し、何事も自己責任を持ち、民意から発生する本当の意味での多様な価値観での取組による構造の再編という新たな時代を迎えつつある。
その前に、まずは明確な意志表示として「国民全員が議員選びだけのための選挙を放棄する」ことが先決か? 投票率が限りなくゼロに近い数字を示した時、もしかして、国が良くなる方向に向かうのかも知れない。
国民主権は、制度としての議会制民主主義に依存し続ける限り、私たちの手元から離れ続けるに違いない。
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