海外のニュースフラッシュ

竹島問題や歴史教科書検定で怒る韓国、対日政策転換へ。
ロシアのプーチン政権、チェチェン独立派指導者を殺害。
台湾独立阻止を図る中国、国防費拡大&反国家分裂法制定へ。
またイラクがらみでアメリアが嘘? イタリア人への銃撃証言、米軍の主張と食い違い。
北朝鮮の金正日独裁体制に陰り、再び住民、相次ぎ反旗の準備?


■竹島問題や歴史教科書検定で怒る韓国、対日政策転換へ。
 島根県議会で3月16日に「竹島の日」条例が成立したことに対して、韓国の地方自治体が一斉に反発し、日本との自治体交流を中断する動きが相次ぐなど、日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)をめぐって日韓関係がギクシャクし始めた。

 韓国政府および盧武鉉政権も、「竹島の日条例成立」を「第2の侵略と見なす」として新たな対日政策の原則と対応策を発表。歴史問題を外交の争点にしないとした対日路線を転換させ、植民地支配への徹底した謝罪と反省を日本に求め、韓国人被害者問題でも人道的な解決を図るよう促す方針も示した。

 新たな対日政策は、国家安保会議常任委員会で確認され、委員長の鄭東泳(チョンドンヨン)統一相が声明として発表。竹島問題や歴史教科書検定をめぐる日本の動きに対し、「隣国と共存する意思があるのか根本的に疑問だ」とし、竹島の領有権主張と植民地支配を正当化する動きに「断固対処する」との基本的立場を強調した。

 これに先立つ2005年3月1日、韓国の盧武鉉大統領はソウルで行なわれた「三・一独立運動記念日」の式典で演説した際にも、「日本政府は過去の真実を究明し、心から謝罪し、賠償することがあれば賠償し、そして和解しなければならない。日韓関係の発展には日本政府と日本国民の真摯な努力が必要だ」と述べると共に、「日本がいくら経済力を強化し軍備を強化しても、隣国の信頼を得た国際社会の指導的な国になることは難しい」と日本を批判している。
 その際、盧大統領は、北朝鮮の日本人拉致問題にも触れ、「日本統治下の強制徴用や日本軍慰安婦問題で数千、数万倍の苦痛をなめたわれわれの怒りも理解すべきだ」とも述べた。

 韓国政府および盧武鉉政権は、両国関係の進展を尊重し過去の問題を外交的な争点にしない方針に「今も変わりはない」としつつも、日韓国交正常化40周年に当たり、日本側の努力なしでは日韓関係のこれまで以上の発展は困難との認識を強調、いつになく強い日本批判になっている。

 島根県の「竹島の日」制定問題のみならず、第二次大戦中、朝鮮半島から女子勤労挺身(ていしん)隊として名古屋市内の軍需工場に動員された韓国人女性と遺族計7人が、国と三菱重工業を相手に、総額2億4000万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の判決が2月24日、名古屋地裁であったが、「日韓協定により損害賠償は請求できない」として、原告の請求をいずれも棄却。 また、1965年6月に締結された日韓協定について「日韓両国と両国民の財産や請求権に関する問題は、完全かつ最終的に解決された」との認定を示したうえで、「協定締結以前のことへの請求権については、何ら主張することができない」とした日本の裁判所判断にも韓国側は、不快感を示している。

 反日感情が高まり、日韓協定の再交渉を主張する声も上がっている韓国では現在、これらの問題のみならず慰安婦や被爆者、サハリン在住韓国人問題など「65年の日韓協定で協議対象から外れた事案」について日本が人道的な解決策を示すよう求める動きもでている。

 だが、表面的な事例ばかりではなく、基本的な日韓関係の課題に目を向けると、これから日本が、朝鮮の統一に向けてどこまで具体的に取り組めるのか、そして、日本の対韓政策、対朝鮮姿勢、日本人の朝鮮感などが、どこまで朝鮮民族のナショナリズムに正しく向き合ったものになれるのか、ということも改めて問われているようだ。(05.3/17)

韓国政府が発表した新たな対日政策原則と具体策の要旨対日4原則(1)歴史問題では加害側が徹底した真相究明と真の謝罪、反省をし、被害側が許し、和解するという世界史の普遍的方式で解決する。(2)独島(竹島)及び歴史問題を巡る植民地支配を正当化しようとする事案に断固対処する。(3)韓国の大義と正当性を国際社会に示す努力をし、その過程で日本の態度変化を促す。(4)日本は、現在と未来の宿命的な同伴者であり交流は継続し、増進する。対日5項目の具体策(1)独島(竹島)の領有権を守るための措置を行なう。(2)国際社会と日本の良心的勢力と連帯し、歴史の正しい共同認識形成のため、あらゆる手段を活用する。(3)植民地時代の被害者の個人補償について、韓国政府が負担すべきことはする。65年の日韓条約の協議対象から外れた事案については、日本政府が人権尊重と普遍的規範の次元から解決するよう促す。(4)日本は隣国の信頼獲得が国際社会で指導的国家として尊敬を受ける第一歩と認識すべきで、日本の動きを注視し対応する。(5)日本を同伴者とする希望は捨てず、市民社会間のネットワーク構築を強化し、草の根から歴史問題を解消する基盤づくりに努める。

●盧武鉉大統領談話●盧武鉉大統領は3月23日、大統領府青瓦台ホームページに寄せた談話で、「竹島の日」条例と歴史教科書問題に関して「これまでの反省と謝罪を白紙化する行為だ」と指摘すると共に小泉首相の靖国神社参拝について「日本の指導者たちが行なった反省と謝罪の真実性を壊すことだ」と強く非難した。 小泉首相の靖国神社参拝問題や自衛隊の海外派遣などについては「これまで未来志向的な日韓関係のために直接的に外交争点としなかった」と説明したうえで「日本が再び覇権主義を貫徹しようとする意図をこれ以上看過する訳にはいかなくなった」と意思表示。また、日韓の各交流が縮小することによって韓国経済に多大な影響が及ぶことも認識したうえで「困難は覚悟しているが、我々は十分にやっていける力量を持っている」と述べ、今後の対日政策に関して改めて強硬な姿勢を貫くことを明らかにした。

●日韓協定●1965年6月に締結された日韓協定では、国家賠償は、日本が韓国に対して行なう経済協力に代えることとした。個人補償は韓国政府が負うことも外交文書で確認された。しかし、現実には不協和音はおさまらず、日本は、村山首相談話として1995年、過去の植民地支配と侵略への痛切な反省とおわびを発表した。さらに98年には小渕首相と金大中大統領による日韓共同宣言でその趣旨を再確認した経緯がある。

●歴史教科書問題●日本と韓国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)問題をめぐって両国間の摩擦が深まる中、韓国では、日本の教科書検定への反発が高まっている。特に、日本国内でも批判がある「新しい歴史教科書をつくる会」主導で発行する扶桑社(フジ・サンケイグループ)の中学歴史教科書については「歴史の歪曲だ」と厳しく批判する声があがっている。

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■ロシアのプーチン政権、チェチェン独立派指導者を殺害。
 独立を目指すためにロシアに対して和平交渉を呼びかけていたアスラン・マスハドフ元チェチェン共和国大統領が2005年3月8日、ロシア軍などの攻撃で殺害された。

 マスハドフ氏は旧ソ連崩壊後の1992年からチェチェン武装勢力に参加し、最高指導者としてロシア側との停戦交渉に尽力していた。停戦合意をまとめた翌97年に共和国大統領に選ばれたが、チェチェンの独立を嫌うロシアのプーチン大統領がその正統性を否定、逆に独立派の掃討作戦を開始した。

 それ以後、マスハドフ氏は所在を隠して行動し、独立派を指揮しながら最近では武装勢力にロシア軍・治安部隊に対する1カ月間の停戦命令を出してロシアとの和平交渉を呼び掛けていた。しかし、これもプーチン大統領が拒否し、独立派掃討作戦の強化に乗り出した。

 チェチェン武装勢力の中では、モスクワの劇場占拠事件や、北オセチヤ共和国の学校占拠事件の首謀者とされるシャミル・バサエフ野戦司令官に比べて穏健派であることから、同氏は国際社会からも、武装勢力内で唯一、プーチン政権との交渉相手になりうる人物とみなされていた。
 同氏が殺害されたことにより、チェチェン和平の可能性はさらに遠のくことになったが、そればかりか、プーチン大統領が、ロシアへの報復に出る武装勢力を抑え込むために独立派掃討作戦のさらなる強化を指示したことから、報復の連鎖が続くことも予想され、チェチェンの独立問題は一層泥沼化していくことになった。

 チェチェン独立派のウドゥゴフ情報相は「チェチェンとロシアの対立は、和平交渉も停戦もない時代に突入した。マスハドフはロシアに和平の手を差し伸べて最初に殺された大統領だ。今後は武力闘争路線しかない」と報復を宣言した。(05.3/9)

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■台湾独立阻止を図る中国、国防費拡大&反国家分裂法制定へ。
 軍事費の2ケタ成長が続く中国は、全国人民代表大会で、2005年度の国防費として前年度当初予算比17%(実績比12・6%)増の約2477億元(約3兆1530億円)を計上する。
 国防費増の理由として中国側は、経済発展に伴う兵士の給与引き上げや退役軍人の社会保障充実、装備の近代化などを挙げているが、台湾をにらんだ軍装備の充実が図られる模様だ。

 また、台湾独立の動きを阻止するために「反国家分裂法」を採択する。
 この法案が「台湾に対しての武力行使を合法化するものになる」との懸念については、「平和的方法での台湾問題解決に向けた政策の法律化だ」としている。法案は、台湾の反発や国際社会の懸念に配慮し、「平和統一・一国二制度」の基本方針の下で対話努力や交流拡大を図ることを前提条件として規定、台湾が独立につながる行為をとった場合、「やむを得ない最後の選択として非平和的方法をとれる」とした。
 注目される武力行使発動の要件は「いかなる名目、方法であれ、分裂を図る動きが事実となった場合」「分裂への重大事変が生じた場合」「平和統一の条件が完全に失われた場合」とし、外国勢力の干渉も排除することを明記した。
 仮に非平和的方法をとった場合でも「台湾住民と在台湾外国人の生命、財産を最大限に保護する」と規定したが、「対台湾武力行使法」だとみる台湾では反発が広がり、法案に対する抗議デモなども活発化している。法案は会議最終日の3月14日に採択の見通しだが、この原則論の法案に加えて、緊急事態法と国防動員法も議論されている
。 

 なお、中国共産党中央軍事委主席を辞職した江沢民氏は、軍部を掌握する国家中央軍事委主席も辞職して完全に引退。後任には胡錦濤国家主席が選出された。(05.3/8)

●中国は、台湾海峡に言及した日米の共通戦略目標については「日米の安全保障協力の範囲に台湾を含めることは、中国の主権への侵害であり内政干渉だ」として、日米両国に不快感を示している。

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■またイラクがらみでアメリアが嘘? イタリア人への銃撃証言、米軍の主張と食い違い。
 バグダッドで武装集団に拉致され開放後、駐留米軍から突然銃撃され負傷したイタリア人女性記者ジュリアナ・ズグレナさんが3月5日、ローマに帰国したが、イタリア検察当局に「検問所でないところで、いきなり銃撃された」と証言し、米軍の主張と食い違いを見せている。

 ズグレナさんは2月4日、取材中にバグダッドで拉致された。1カ月後の3月4日に解放され、イタリア情報当局が引き取った。しかし、バグダッド郊外の空港へ向かう途中、米軍がズグレナさんと情報要員3人が乗った車両を銃撃、情報要員1人が死亡、ズグレナさんら3人が負傷した。

 米軍側は、検問所で静止するよう車にライトをあてたり、威嚇射撃をして警告したが、車が逆に速度を上げたため、銃撃したと主張した。
 ところが、ズグレナさんはこれを否定したうえ、「車は普通の速さだった。ライトがあたってすぐ、多数の銃弾が飛んできた。撃ったのはパトロール隊」と証言した。
 イラクの米検問所では、女性や子供を含め、民間人が誤射により死亡する事件が続発、人権団体などからも検問所周辺での交戦規則が甘過ぎるとの批判が出ているが、ズグレナさんの場合は少し違っている。
 銃撃は警告もなく突然、狂ったように始まり、運転手が車外に出て「イタリア人だ」と叫んでもやまなかった。情報機関員のカリパリ氏が、彼女を守るため覆いかぶさり、その直後に彼は息を引き取った。「その時、解放直前に拉致犯が、君の帰国を望まない米国人がいるから注意しないといけない、と警告していたことを頭に浮かべた」とズグレナさんは語っている。
 また、ズグレナさんの家族は地元メディアに対し「車は数か所の米軍検問所を通過した後で、空港までわずか約700メートルの地点だった。米軍側は彼女が乗っていた車のことを知っていたはず」と述べている。

 ブッシュ米大統領はそれに先立つ3月4日、イタリアのベルルスコーニ首相に電話をかけ、遺憾の意を表明した上、事態の徹底解明を約束したが、この証言により、徹底解明は複雑な状況になった。

 ズグレナさんは、国内日刊紙「マニフェスト」の記者で「イタリア軍撤退」を主張していた。犯人がマスコミに送ったビデオ映像でも彼女は「撤退の必要性」を訴えた。拉致解決を望むイタリア世論も撤退論に同調し、動きはじめた。この動きを懸念した首相が、国軍情報当局による解放交渉を指示し、解放に至った。しかし、その直後にイタリアの情報機関員や彼女が乗る車両を米軍が銃撃した。

 かねてからイラク駐留イタリア軍の撤退を求めていたイタリアの野党側は3月5日、「無意味な戦争の犠牲者をまた一人出した。イラク駐留イタリア軍を撤退させるべきだ」と表明するなど、撤退圧力を高める姿勢を見せているが、このズグレナさん証言で、撤退圧力はさらにヒートアップしそうだ。
 また、イタリア国内では今回の事件に対する世論の怒りも高まっており、イタリア軍イラク駐留でアメリカに追従したベルルスコーニ首相も窮地に立たされることになった。
 ローマ地検は「故意の殺人」として捜査を始め、法相も了承し、米国側に捜査要請書を提出した。

 これを受けて米政府は3月7日、調査結果を待つことなく「われわれの軍が罪のない民間人を標的にするなどという見方は、ばかげていると思う」との見解を示し、米軍によって標的にされたとのスグレナさんの主張を認めない姿勢を見せ始めた。

 狙い撃ちではないにせよ、事実を把握する基本としてローマ地検当局は「発砲した米兵も尋問したい」としているが、米政府の反応は鈍く、最終的には「誤射」と「謝罪」、成りゆきによっては「発砲した米兵の処罰」で決着を図りたい模様だ。

 しかし、いずれにせよブッシュ大統領との盟友関係を唯一の看板にしてきたベルルスコーニ首相にとって、どう決着を図るのかは極めて難問だ。上院はイラク派遣部隊3000人の6月末までの派遣延長を承認したが、下院の採決はこれからで、厳しい国会審議が予想される。また、4月には、主要州知事らを選ぶ地方選挙があるが、首相の政党「フォルツァ・イタリア」の支持率は20%程度に低迷を続けている。(05.3/7)

●スペインは「わが国が加わったのは明らかに過ちだった。武力介入は国際社会の秩序を維持するうえでも、協力態勢を築くうえでも、アメリカを守るうえでも政治的なミスだった」としてイラクに対する政策を大きく転換する姿勢を内外に示した。また、アメリカの求めに応じて参戦し、積極的に軍事支援してきたポーランドのクワシニエフスキ大統領は、「わが国はだまされ、まんまと乗せられてしまった」と述べた。そして既に軍隊を撤退させたスペインやフィリピンなどに続きポーランドもイラクから軍隊を全面撤退させることを決めた。

●国連安保理での決議採択に最低限必要な9カ国を取り込むことができなかったアメリカが、安保理決議のないままイラク攻撃に踏み込んだのは2003年3月20日だった。そして4月9日、アメリカ軍は、バグダッドの中心部に部隊を進め、首都全域をほぼ制圧した。イラクを占領下に置く米軍当局は2003年12月13日夜、サダム・フセイン元大統領をイラク中部ティクリート南方で拘束したが、イラク攻撃の大義であった大量破壊兵器はその後も見つからなかった。

●「大量破壊兵器は存在しない」と言われ続けていながらも、アメリカが「ある」と主張し続け、イラク攻撃を正当化しようと躍起になったが、イギリスのブレア首相は2004年9月28日、労働党大会で演説した際、イラクが生物化学兵器を保有していることを根拠にしたイラク攻撃を「誤りだった」と謝罪。続いてアメリカのパウエル国務長官が「フセイン元大統領が大量破壊兵器の備蓄を持っていなかったことを知った」と明言した。

●イラクで大量破壊兵器を捜索していたアメリカ調査団(CIA主導のチーム)のドルファー団長は2004年10月6日、アメリカ議会に、イラクにはいかなる大量破壊兵器も存在しなかったと結論づける最終的な報告書を正式に提出した。これにより、攻撃を仕掛けた国側の大義や正当性が消え、「違法」と言われ続けたイラク攻撃は、国家が行なった忌まわしいテロとして歴史に刻印されることとなった。

●イラクでは、連日、駐留米軍に照準を定めた攻撃が続き、ブッシュ大統領が戦闘終結宣言をした後の米兵死者数が戦闘中の死者数を上回るという状況になった。反米武装勢力が的確にターゲットを攻撃するケースが増え、イラク駐留米軍の死者は、イラク攻撃以来500人を超えた。戦闘終結宣言前の戦闘による死者は115人だが、主な戦闘終結宣言以降に襲撃されて死亡した米兵は300人を超え、事故または自殺による死者も200人(うち米軍が公にする自殺者数は20人程度)を超えた。

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■北朝鮮の金正日独裁体制に陰り、再び住民、相次ぎ反旗の準備?
 海外のメディアは、金正日(キム・ジョンイル)総書記の独裁体制に再び陰りが見え始めたことを報じはじめた。

 大宮殿建設や世界の高級車の買いあさる金総書記一家が財産を約40億ドルため込む一方、飢餓で300万人が命を落とした北朝鮮では、90年代半ば頃から、歩道橋や工場や列車の壁面に『金正日打倒』といったスローガンが堂々と書かれはじめ、金総書記に対する暗殺計画や陸軍部隊のクーデター計画が表面化してきたことは知られているが、ここにきて再び、金総書記の独裁体制に対する反旗の翻りが、水面下で活発化している模様だ。

 ドイツ誌のシュピーゲルが「外部には知られていないが、北朝鮮住民は見た目とは裏腹に、金正日に対しては温厚ではなく、むしろきわめて反発が強くなっている」旨を報じると、それを受けてアメリカのニューヨークタイムズが「4月22日に龍川(ヨンチョン)駅爆発事故が起きたが、そのわずか数時間前に、金総書記が乗っていた列車がこの場所を通過したことは単なる偶然なのか」と問い返し、それに応えるかのようにロシアのタス通信が「北朝鮮で公の場所から、金正日総書記の肖像画が撤去されている」と報じるなど、尋常ではない模様が伝わりはじめた。

 これまでも異変があるごとに、権力闘争、重病説、後継問題との関連、個人崇拝イメージの払しょく作戦など、まことしやかに諸説が浮上してきたが、どれも的外れのものばかりだった。

 今回、住民たちは、独裁体制について「人民を奴隷にし、首領絶対主義世襲王国を作り、わが人民を世界で一番悲惨な貧民にし、この国を世界の落後者にした」と痛烈に批判するビラをまき、金正日体制の糾弾を開始した、と言われる。それに対して金総書記は抵抗勢力をさらに抑えこむため、部隊を10万人編成で強力に組織しているとも言われている。
 このことから、希望的観測も含まれるものの、近い将来、独裁を嫌悪し続けながら反旗を大々的に掲げる準備を進めている住民たちが、金総書記失脚やファシズム追放を目指し、一丸となって蜂起する日が、到来するのかも知れない。
(04.11/17)

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