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あきれた人事が横行、科技庁前事務次官、引責辞任後7カ月で特殊法人副理事長に天下り。

 茨城県東海村での臨界事故やH2ロケット8号機失敗の責任を取り、昨年11月に辞任した科学技術庁の岡崎俊雄・前事務次官を、政府は、7月1日付で同庁特殊法人の日本原子力研究所(原研)の副理事長に起用する人事を決めた。

 原研では、科技庁事務次官から副理事長を経て理事長に、というのが定番の官僚天下りコースになっており、不祥事の責任を取って次官が辞職したのは科技庁では初めてだったが、引責辞任に至っても事務次官は、原研理事長へのコースは確約されていることとなった。

 科技庁ではこのほか、間宮馨・前原子力安全局長が、臨界事故につながった安全審査の不備、事故後対応の不手際で「訓告処分」のうえ更迭されたものの、6月30日付で早々と科学技術政策局長に就任するなど、あきれた人事が横行している。(2000年)

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携帯電話から出る電磁波について、人体に及ぼす影響の有無を本格的調査へ。

 電磁波の影響による癌の発生などが懸念される中、携帯電話から出る電磁波が脳しゅようなどを及ぼすとされる問題で、その影響の有無を調べるため、日米欧14カ国が協力し、本格的に脳しゅよう患者の追跡調査を共同実施することが決まった。

 WHO(世界保健機関)が設立したIARC(国際がん研究機関)を中心とする国際プロジェクトの呼びかけで決まったもので、日本では今秋から、郵政省が生体電磁環境研究推進委員会で分科会を設け、日本脳神経外科学会に協力を求め、脳外科の専門家や電磁波の研究者らが参加の調査チームを組み、首都圏や大阪などで脳しゅよう患者や健康な人を対象に500人〜1000人規模で聞き取り調査する。

 海外では、携帯電話が原因で脳しゅようになったとして患者がメーカーを訴える例があり、電磁波との因果関係が一部で指摘されているが、科学的なデータが乏しいため、要因としての確定には至っていない。
 郵政省はラットの実験結果などから「現時点で有害という証拠はない」との見解を示しているが、人体への影響まで踏み込んだ調査は実施されておらず、無害という証拠もないことから、郵政省では、携帯電話の電磁波障害に関する本格的な調査を決めた。調査期間は約2年で、最終報告のまとめは早くても2003年ごろになる模様。

 また郵政省は、来年夏までに電波法の関係規則を改正し、携帯電話から出る電磁波の頭部に吸収されるエネルギー量について法的な基準を設け、事業者やメーカーに義務づけることも決めた。携帯電話の電磁波対応策はガイドラインとして「局所吸収指針」があるが、このガイドラインを電波法に基づく強制的な基準にする。
 このガイドラインでは、携帯電話を使っている状態で電磁波を頭部の組織10グラムに6分間あて、吸収されるエネルギー量が体重1キロあたり2ワット以下になるよう求めている。現在、事業者やメーカーはガイドラインに基づいて自主規制をしているが、今後は、事業者やメーカーが新機種を製品化する際には、郵政省に提出する「技術基準適合証明」に「局所吸収量」のデータを追加して公表を義務化する。基準を満たさなければ製品を市場に出せなくなる。
(2000年)

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せつない現実、病院や福祉施設などでの痴ほう症状の高齢者に対する身体拘束は「やむを得ない」?

 厚生省は、病院や福祉施設などでの「身体拘束」を、人権上の配慮や介護サービスの質の向上のため、身体を保護するなど緊急でやむを得ない場合以外は省令で原則禁止しているが、実際に痴ほう症状の高齢者介護の経験を持つ家族のうち6割以上が、ベッドなどに縛り付けておく「身体拘束」について、「病院や福祉施設での拘束はやむを得ない」と回答していたことが、厚生省が6月9日に開いた「身体拘束ゼロ作戦推進会議」の会合報告で分かった。

 調査では、「呆け老人をかかえる家族の会」(会員数約6000人)の会員のうち、99年10月時点で痴ほうの人を介護した経験のある家族ら600人から回答を得た。
 拘束の原則禁止の省令については、「大いに賛成」「賛成」と回答した家族は7割以上いたが、病院や施設内での実際の拘束については、「条件によって認める」または「認める」と回答した家族が6割以上にのぼり、介護しきれない高齢者を病院や施設に入所させた家族にとって、「身体拘束」に対する異議は、実際のところ唱えにくいと感じているせつなさが浮き彫りになった。
(2000年)

●一方、子どもの場合、児童福祉施設で体罰が行なわれていることが明るみに出ているが、厚生省の調査で、全国625の児童福祉施設のうち、子どもへの虐待を禁止する「懲戒権の乱用禁止規定」を設けている施設は3割で、約7割の施設がこれに対応していないことが分かっている。
 厚生省は98年から、子どもの権利を守るため、児童福祉施設が守るべき最低基準に「身体的苦痛を与え、人格を辱める等その権限を乱用してはならない」との懲戒権の乱用禁止を定め、それぞれの施設にも同様の規定を設けるように指導している。
 厚生省の調査によると、全国に553ある児童養護施設のうち、69%が懲戒権の乱用禁止を施設の規定に設けておらず、子どもの権利擁護について施設内で研修をしていない所も92施設(約15%)あった。子どもが意見を言える機会を確保している所は580施設で、全く確保していない所が45施設(約7%)あった。

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ストーカー規制法、児童虐待防止法、犯罪被害者保護関連法が成立。

ストーカー規制法が成立
 ストーカー規制法が施行される。
 同法では、特定の人物に対する恋愛や好意感情に基づくストーカー行為に限定。恋愛や好意的感情を抱く特定の人物に対し、感情を満たす目的で、待ち伏せ、押し掛け、無言電話、いたずら電話、性的羞恥心を害する文書や図画の配布、つきまとい等のストーカー行為を反復して行なうと、懲役最高1年または100万円の罰金などの罰則が科せられる。

 被害者がストーカー行為をやめさせることを警察に求めた場合、警察は加害者に対し警告を出すことが法律上可能になる。また警告に従わないときは、都道府県公安委員会が禁止命令を出せる。

 ストーカー行為は、これまでの現行法では刑事事件(殺人や傷害、暴行、住居侵入など)に発展しないと検挙できなかった。このため、被害者が警察に相談に行き、解決策を求めても、「適用する法令がない」ことを理由に対応してもらえず、多くが「泣き寝入り」を余儀なくされいるのが現実だった。勿論、刑事事件に発展しても警察対応のズサンさに翻弄されるケースが多いのも現状で、ストーカー規制法が施行されても警察の対応が改善されるかは疑問だ。

ストーカー被害
 「適用する法令がないため」というのを理由に、検挙できないケースが増えているストーカー被害だが、警視庁がまとめた昨年1年間の相談件数は前年より2000件増えて8000件を超した。
 特に悪質な行為でありながらも「適用する法令がないため」というのを理由にして警察が検挙できなかったケースは、警視庁調べによると1997年〜99年6月までの2年半で確認できただけでも822件もあった。
 また、悪質なストーカー行為の期間は、200件余りが6カ月以上の長期にわたり、このうち2年以上が34件を占めた。
 ストーカー行為の加害者の年代は、20〜30歳代が全体の4割を占め、40歳以上も3割にのぼった。被害者と加害者の関係は、実際に交際していたり、過去に交際していたケースが3割を超える258件にのぼり、勤務先が同じという事例も123件あった。

児童虐待防止法が成立
 相次ぐ児童虐待に対応するため、与野党が全会派共同で議員立法化して提出した児童虐待防止法がスピード成立、施行される。
 児童虐待を同法では、18歳未満の子どもに対する身体的な暴行、わいせつ行為、著しい食事制限や長時間の放置、心理的外傷を与える言動のいずれかの行為と定義。義務として、国や地方自治体に対して、虐待防止の体制整備を課した。
 同法は、児童相談所の職員らが虐待を受けている子どもの家庭に立ち入り調査する権限を強化、必要に応じて警察や弁護士などが援助の形で関与しやすくしたり、親の接触を制限する規定も盛り込んだ。また、虐待を続ける親らにはカウンセリングを受講することを義務付け、従わない場合は都道府県知事が勧告できるようにもした。

犯罪被害者保護関連法が成立
 これまでは加害者の権利が憲法などで手厚く保障されているのに対し、被害者に認められる権利はわずかなもので、犯罪被害者が証人として出廷した場合は、質問に答えることしかできず、法廷で意見陳述したり、公判記録の閲覧やコピーをする権利などはなかった。

 今回の改正で、「改正刑事訴訟法」では被害者の意見陳述権を創設、性犯罪の告訴期間の撤廃、「犯罪被害者保護法」では被害者や家族、遺族の優先傍聴への配慮を明文化、裁判中の被害者や家族の公判記録の閲覧・コピーの許可、「改正検察審査会法」では検察審査会への申し立て権を遺族にも拡大するなど、犯罪被害者の権利について初めて法整備が開始された。被害者支援を国の責務などとした民主党提出の犯罪被害者基本法案は採決されないまま、廃案。5月〜10月中にも公布される。(2000年)

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総理府の調査で、改めて中央官僚たちの「天下り天国」の姿が浮き彫りに。

 総理府の調査で、国家公務員から省庁所管の公益法人へ役員として天下った者の中で、天下り先を退職する際に3000万円を超える退職金を受け取っていた者が過去10年間で延べ200人にの ぼることが明らかになった。

 調査では、省庁所管の公益法人へ理事や監事など役員として中央省庁の課長級以上が再就職した在職状況を全省庁を対象に調べ、1990年度からの10年間分をまとめた。また、「渡り鳥官僚」とも称される天下り先を複数移動する実態についても調べた。

 調査対象となった公益法人は6879。このうち天下りを受け入れている法人は1057で1999年10月現在での在職者数は1547人、10年間で延べ3776人の天下りを受け入れていた。うち複数の公益法人を渡り歩く「渡り鳥官僚」は442人で、197人が移動ごとに退職金を受け取っていた。
 天下り官僚のうち3000万円を超える退職金を受け取ったのは延べ200人で、5000万円超えが47人いた。在職期間が4年以下でも3000万円超えの退職金を受け取っている者が2人いた。

 公益法人は国や都道府県の許可を受けて設置される社団法人や財団法人で、公益法人が所管の省庁から天下りを受け入れると、補助事業や助成金配布などで有利なほか、優先的に省庁の施策などに関連して、いわゆる「おいしい仕事」が舞い込んでくることから、天下りに渡す退職金や役員報酬はいわば「営業経費」のようなもの。なかには月100万超えの役員報酬を支払う公益法人もザラで、過去から現在に至るまで「蜜月による癒着」の温床になっている。

 しかし、これらの実態に関しての批判は年々強まるものの、未だに公益法人のありかたを含め、全面的な見直しには至っていないのが現状だ。(2000年)

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通産省から所管法人への天下りで、将来にわたるOBの天下りと待遇を約束させる合意と了解の内部文書が表面化。

 通産省の近畿通商産業局が、同省が管轄する認可法人「近畿自転車競技会」(大阪府堺市)との間で、将来にわたる同局OBの天下りと待遇を約束させる「了解事項」文書を作成し、「天下り協定」として取り交わしていたことが4月14日、衆院商工委員会で吉井英勝氏(共産)が取り上げ、明らかになった。

 合意文書は1996年7月4日付でタイトルは「了解事項」。主な趣旨は「近畿通商産業局と近畿自転車競技会は、競技会の役員などにつき、通産局が推薦するものを採用し、理事に任命することを合意し了解する」というもの。

 また、その時の当事者としては、通産省側は、近畿通商産業局総務企画部長だった太田房江(現大阪府知事)の名前と印、競技会側は、当時会長だった古閑俊彦の名前と印があった。太田知事は「この件については前職のことであり、通産省にお尋ねください」とコメントしている。

 合意文書の内容は「現在の副会長が辞任の後は、近畿通商産業局出身の理事が副会長に任命されるものとし、その副会長が退任した後は、競技会出身者が副会長に任命される」「競技会は、96年10月に通産局が推薦する者を参与として採用し、当人が監事に任命されるまで4カ月間は参与として勤務させる」「競技会は、97年10月に通産局が推薦するものを採用し、理事に任命する」「将来は通産局出身者が競技会役員のうち3人になるように努め、通産局出身の役員の任期は、原則として2期以内とする」などというもの。

 中央省庁から所管法人への天下り問題で、こうしたあきれた内容の天下り協定内部文書が表面化するのは極めて異例。

 しかも実際に、同局商工部次長から競技会に天下りした理事は、97年度に副会長に昇任。96年10月に競技会の参与に天下りした同局の産業企画部次長は翌年の1月末まで在席し、その後は監事に昇格。98年度には、同じく産業企画部次長が理事に天下りしており、ほぼこの文書の内容通り、忠実に実践されていることが判明したのも異例だ。

 自転車競技会は全国に8つあり、競輪場を運営する自治体から、ほぼ独占的に、審判員の派遣、競技自転車の検査、車券の発券、競輪場内の整理などの業務を委託されている。
 近畿自転車競技会では、会長の座は、通産省本省のキャリア官僚の歴代指定席。また、理事2人、監事1人を近畿通商産業局OBが占める。ちなみに報酬は会長が月額約120万円程度、副会長が同約100万円程度、理事や監事は同約80〜90万円程度也、とか。
(2000年)

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最高裁、過労と自殺の因果関係を認める初判断を示す。

 広告代理店の社員の自殺をめぐり、その両親が「長時間労働による過労からうつ病になったのが原因」として勤務先の電通に約1億6300万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷は3月24日、会社側の責任を認める判決をくだした。過労と自殺の因果関係を認めた最高裁判断は初めて。

 この訴訟は、1991年8月に自宅で自殺した当時24歳の男性は、電通に入社してラジオ番組のスポンサーとの交渉などを担当していたが、自殺する前の2カ月間は休日もなく4日に一度は徹夜で残業、上司に「もう人間として駄目かもしれない」と話すなど追い込まれていたというもので、両親が、「自殺は、過度の長時間労働でうつ病になったことが原因」として、同社に約1億6300万円の損害賠償を求めた。

 一、二審判決共に、「社会的に許される範囲をはるかに超える長時間労働」などと指摘し、会社側の責任を認めた。しかし、電通側は「過労とうつ病、自殺の関係ははっきりしない。同居していた両親は生活状況を把握しており、自殺を防止できる立場にあった。親の責任が大きい」などと反論。会社側の責任と本人側の責任については一、二審で判断が分かれ、一審東京地裁判決は会社の責任を全面的に認めたが、二審東京高裁判決は「本人側にも病院に行かなかったなど落ち度がある」と判断。賠償額を一審の約1億2000万円から約8900万円に減額した。
 このため両親と電通の双方が不服として上告していた。

 最高裁第二小法廷は、「使用者は業務の遂行に伴う疲労や心理 的負担が過度に蓄積して、労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」との判断を示したうえで、社員の長時間労働と自殺との因果関係を認め、電通側の上告を棄却。その上で、約8900万円の支払いを命じた二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。

 全国でも、係争中や準備中のものを含めてこうした過労と自殺をめぐっての訴訟は増える傾向にあることから、今回の最高裁判決は、それらにも影響を与えそうだ。(2000年)

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詐欺を本業にしたインチキ国会議員に懲役10年の実刑判決。

 オレンジ共済組合事件で「詐欺罪」に問われて「拘留中」の参議院議員・友部達夫被告に対し、東京地裁は3月23日「国会議員への信頼を悪用した巨額詐欺事件で、社会に与えた影響は深刻で重大だ」として求刑通り懲役10年、妻みき子被告には懲役5年(求刑6年)の実刑判決を言い渡した。
 在職中国会議員の量刑としては戦後最高の懲役10年を言い渡された友部被告は、これを不服として控訴した。

 友部達夫は、1983年に年金党を旗揚げして衆院選や参院比例選に立候補したがいずれも落選。95年の参院選で旧新進党にくら替えし、比例選で初当選。その後に詐欺事件が発覚して離党した。

 参議院では彼に対して「議員辞職」を1997年4月に勧告したが、辞職を拒否。拘置は現在まで約3年2カ月にもおよび、この間、一度も議員としての仕事はもちろん、登院すらしていないが、「塀のなかの懲りない詐欺師の国会議員」に対しては、今も議員歳費や期末手当など少なくとも年間約3600万円以上が支払われているほか、公設秘書への給与なども支払われている。

 このことから、参院議院運営委員会は3月24日、友部議員に対し、議員を辞職するよう再度要請したが、「判決は不満で、控訴はするが、辞職するつもりは毛頭ない」と再び拒否した。しかし、年間約2000万円の給与が払われている公設秘書2人の解雇と議員宿舎の明け渡し要求については応じ、秘書の解職届と宿舎の明け渡し同意書にサインした。

 ちなみに議員歳費については、被害者らが起こした損害賠償訴訟の判決に基づき差し押さえられている。(2000年)

オレンジ共済組合事件
 オレンジ共済組合の実質的な主宰者だった参院議員の友部達夫と、妻の同組合元理事長・みき子、二男の元専務理事らが、1994年6月から96年11月にかけ、「銀行や郵便局より有利な利息で、元本は保証する」などと偽り、「オレンジスーパー定期」などの名目で金を集め、顧客35人から約6億6550万円をだまし取った。

 検察側は1999年12月16日の論告で、起訴されなかった分も含めると、被害者の総数は2000人を超え、被害総額は約59億9000万円に上るとしたうえで、「選挙活動で『中高年の生活の充実』などの崇高なスローガンを掲げながら、その内実は国会議員への信頼を利用して自己の負債の返済資金や遊興費などを集めようとした」と指摘、大馬鹿者の烙印を押し、友部被告に懲役10年、みき子被告に同6年をそれぞれ求刑していた。

 オレンジ共済事件では被告ら計5人が起訴された。このうち元理事や元常務理事の両被告には懲役3〜5年の有罪判決が言い渡されている。
 二男の元専務理事は無罪を主張し公判中。

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「環境犯罪」への対策を強化、廃棄物処理法改正。

 廃棄物処理法の改正案が今国会で成立する。改正案では、警察庁の要請もあり、「環境犯罪」への対策を強化することに力点が置かれた。

 現行の廃棄物処理法では、誰が産廃処理業の申請を行なっても、技術上の基準や生活環境への配慮などの要件を満たしていれば不許可には出来ない。このため暴力団員が産廃処理業の一部を請け負って暴力団の資金源にしたり、適正に最終処分せず、不法投棄を行なうなど、環境犯罪が進む傾向にある。

 警察庁の集計によると、産廃の不法投棄などで1998年に摘発された1349人のうち暴力団員は183人で全体の約14%を占めている。

 これらの対策を強化するため、処理業の許可をしない欠格要件に「暴力団員が処理業を行なっていることが分かれば都道府県知事は許可を取り消すことができる」とする規定を新設する。また、廃棄物処理施設の譲渡や借り受けを、事後の届け出制から事前の許可制に改めて、悪質な業者に処理施設がわたるのを未然に防止する。
 このほか、産廃の排出から最終処分までの流れを管理する管理票(マニフェスト)の偽造や、建築廃材などの野外焼却に対する罰則規定を新たに設ける。

 また、不法投棄の罰則について、一般廃棄物と産業廃棄物の区別をなくし、現行の「3年以下の懲役、1000万円以下の罰金」を「5年以下の懲役、1000万円以下の罰金」へ強化するほか、フィリピンへのゴミの不正輸出事件を受けて、厚生大臣の確認を受けずに海外に不正輸出した場合の罰則を、現行の50万円以下の罰金から3年以下の懲役刑も新設する。(2000年)

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