◆列島縦断ニュースハイライト◆
【北海道発】


■北海道幌延町に高レベル放射性廃棄物の処分技術を開発する深地層研究所を計画している核燃料サイクル開発機構(旧動燃)は、北海道および幌延町と11月16日、科学技術庁で深地層研究所開設に向けての協定を締結した。
 協定締結を受けて核燃機構は、地質調査など研究所着工に向けた準備に着手し、深さ500メートル以上の試験坑道を掘削し、岩盤の特性や地下水の動きなどを調べ、高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けての研究を開始する。

 同研究所を巡っては「そのまま廃棄物の処分地になるのではないか」との不安や反対意見が北海道はじめ地元で根強いため、それをかわすため、今回の協定書には「研究期間中と終了後においても、放射性廃棄物を持ち込んだり使用することはしない」「試験坑道は研究終了後に埋め戻す」「放射性廃棄物の最終処分実施主体に研究施設を譲渡・貸与しない」などが明記された。

 堀知事は「核廃棄物を道内に受け入れないという基本的な考えは道議会で可決した条例にも明記してあり、協定の締結で有効な担保措置がとれたと思う」と述べた。しかしながら実際には、この先、何がどうなるか分からないというのが実情で、研究における協定書とは無縁のところで、幌延町はこれまで以上に高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けての候補地として有力視されていくことだけは確かなようだ。

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【北海道発】


■北海道泊村に計画している北海道電力の泊原発3号機増設(加圧水型91万2000キロワット)について、堀達也北海道知事は7月14日の道議会予算特別委員会で「選択せざるを得ない」と述べ、増設を容認する考えを明らかにした。

 茨城県東海村の臨界事故をきっかけに、政府も原発政策の見直しに着手せざるを得なくなるなど、国民の間から原発計画の見直しを求める声が強まるなかでの都道府県知事の「増設容認発言」は初めて。

 知事は、公約で「脱原発」を掲げると共に既存の原発についても「道民の合意を基本に慎重に対応する」としていたが、「2008年度以降の最大電力に対応するためには90万キロワット級のベース電源増設が必要」との北電の需要想定を根拠に増設推進を主張してきた道議会最大会派の自民党などの意見を受け入れ、この需要予測を「妥当」とした。

 泊原発増設をめぐっては、道内の経済団体などが早期建設を要望する一方で、識者グループは賛否の結論を3年程度延期するよう提案。また、市民団体などは建設の是非に関し住民投票実施を求める約78万人分の署名を提出している。

 知事は今後、泊村など地元4町村の意向を確認した後、9月以降に受け入れを最終決定する模様。

 中国電力が計画している島根県鹿島町の島根原発3号機増設に関して、澄田信義島根県知事も同日の県議会全員協議会で同意する考えを表明した。

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【北海道発】


■核燃料サイクル開発機構が幌延町に建設を計画している深地層研究所に関連して、幌延町の上山町長は6月15日の定例町議会で、「放射性廃棄物の中間貯蔵施設や処分場の建設申し入れがあっても、条例の趣旨に沿って持ち込みは認めず、つまり受け入れない」と述べ、深地層研究所計画は推進するが、町内への放射性廃棄物の持ち込みについては拒否する、との考えを表明した。

 幌延町は、町内への放射性廃棄物の持ち込みを認めない条件で深地層研究所計画を推進する条例を制定しているが、地元では「貯蔵工学センター計画は白紙撤回されたものの、新たに計画が浮上した深地層研究所設置を契機に、幌延町が最終処分の場になり兼ねない」と警戒感が強まり、反対派からは「この条例は、目的が同研究所に限定されていることから、将来の処分場立地に余地を残す」との疑問が出ていた。

 深地層研設置推進の立場をとる幌延町長は、2000年1月4日に町内で開かれた新年交礼会などで、「研究所計画は年内にも実現する」との見通しを示し、積極姿勢をアピール。核燃サイクル機構も幌延町に「事業説明」するための担当者派遣を予定するなど、計画実現に向けて動きだしていた。しかし、地元では、核燃サイクル機構が幌延町で「事業説明」することに関して「 検討段階での説明は時期尚早」としてピケなどの抗議行動も辞さない構えを見せるなど、反発を強めていた。

 これを受けて北海道庁は、幌延町および周辺の「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」などから反対意見を聴取した後に、検討委員会で報告書をまとめ、専門家による報告書の再検討などで結論を出すという段取りを示し、研究所計画が核廃棄物の持ち込みにつながらないようにする担保措置としては、検討委員会などが、研究終了後の施設埋め戻しの方針を挙げている。

 担保措置としての研究終了後の施設埋め戻しに関して町長は、「地域振興の観点から、研究終了後も学術研究のために有効活用してほしい」と、これを敬遠する意向も併せて表明した。

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【北海道発】


■札幌市大通公園での「YOSAKOIソーラン祭り」会場で6月10日夜、臨時のゴミ置き場が爆発し、男女計10人が負傷した事件で、北海道警札幌中央署は11日、重傷を負ったボランティアの大学生の身体からクギが見つかったことなどから、何者かが祭りの妨害を目的として爆発物を仕掛けたとの見方を強めて捜査本部を設置、本格捜査に乗り出した。

 けがをしたのは祭りのスタッフで、17歳〜21歳の男女5人ずつ。うちゴミ回収担当のボランティアをしていた19歳の札幌学院大1年生は、心臓や肺などを損傷し、意識不明の重体、長さ約5センチのクギ1本が突き刺さっていた。また、現場周辺でも数本のクギが発見された。

 祭り最終日の11日、大通会場で午前中に予定されていたイベントはすべて中止、参加チームの審査・表彰も取りやめになった。

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【北海道発】


■3月31日から噴火活動を開始した有珠山(標高732メートル)について、火山噴火予知連絡会が5月22日に「マグマ活動が次第に低下しており、このままの傾向が続けば、噴火が終息に向かう可能性がある」と、噴火の終了について言及したのに続き7月10日、「マグマ活動が終息に向かっている」との新見解を発表した。

 これを受けて虻田町は、噴火口から半径約500メートル圏内で、危険度が極めて高いとされる「カテゴリー1」区域を除く地域の避難指示の解除を決めた。
 残る避難対象は202世帯、378人だが、町長は残る避難指示区域については「住宅の移設などを検討する段階に入っており、解除は難しい」との見方を示した。

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【北海道発】


■「北海道石炭じん肺訴訟」の第一、二陣の判決が1999年5月28日午前、提訴から12年7カ月ぶりに札幌地裁で言い渡された。
 北海道内の炭鉱で働き、じん肺になった元炭鉱労働者185人と遺族計446人が、国と三井鉱山、三井石炭鉱業に原告患者1人当たり3450万円の損害賠償を求めたもので、同訴訟は全国のじん肺訴訟で最大規模。
 判決では、企業2社に対しては、安全配慮義務を怠ったとして賠償責任を認め、原告患者77人について一人当たり2200万円〜1200万円、総額約18億9000万円の支払いを命じた。しかし、他の原告患者については、「最終の行政認定時から10年で損害賠償請求権の時効が成立する」とし、請求を棄却した。
 また、裁判の途中で被告の北海道炭砿汽船(北炭)が倒産したため、国に損害賠償を求めて原告患者が訴えた「国の法的責任」については「規制監督権限が十二分に行使されたとは言いがたいが、行政庁の裁量の範囲を逸脱したとはいえず、違法性はない。粉じん防止対策など必要な施策をその時代に応じて実施してきた」などとして、原告側の請求を棄却した。

 国のエネルギー政策に翻弄されたうえ閉山などですでに企業がなくなり、訴える相手がいないじん肺患者が全国に多数いる中で、筑豊じん肺一審判決に続き再び「国に責任はない」と判断されたことは、今後の未提訴患者にとっても厳しい司法判断となった。三井鉱山と三井石炭鉱業は控訴する意向で、原告側も棄却された患者分について控訴する方針。

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【北海道発】


■北海道電力の泊原発1、2号機の運転中止を求めた「泊原発差し止め訴訟」の判決が1999年2月22日、札幌地裁であった。
 札幌地裁は、原告側の主張する「将来の危険に対する生命や身体を守る人格権」を認めたうえで、同原発について「事故の可能性は完全に否定はできない」としながらも「事故防止策や放射性物質の放出防止策がとられ、運転員や技術者の異常事態に対する訓練も十分に実施されており、生命身体に侵害を及ぼすような事故が発生する具体的危険があるとは認められない」「通常運転で泊原発から放出される放射線量は、自然放射能の被ばくや法規制値などに比べて極めて小さいので生命や身体を侵害する危険性があるとは認定できない」「放射性廃棄物処理時についても、泊原発内におけるセメント固化処理に危険性はない」などとし、請求を棄却した。

 原発全般については、「地球温暖化防止の観点から原発推進の選択がある一方で、電力消費を削減し、放射性廃棄物を生み出す原発を中止する選択肢もあってよい。また、自分たちの子どもに何を残すのか賢明な選択をしなければならない」と指摘すると共に原発の安全性について「抽象的な危険は常に存在しており、国民の間に不安が払拭されているとはいえないので、将来に向けて多方面から議論を尽くさなければならない」とし、今後の原発のあり方や国民的議論の必要性も求めた。
 全国で起こされている原発に対する運転差し止め訴訟判決の定石通り、具体的各論では「危険性はない」と断定的に結論付けたが、総体としては、昨年9月に行なわれた北陸電力志賀原発(石川県)の運転差し止め訴訟判決で名古屋高裁金沢支部が指摘した「原発の安全性に対する国民の信頼は揺らいでおり、核燃料の再処理問題など、負の遺産も否定できない」とした判断からさらに踏み込み、「未来の選択」について「原発を中止する選択肢もあってよい」と、遅まきながら原発訴訟の裁判所判決では異例の提示をした。

 泊原発は、1989年6月に1号機、91年4月に2号機が加圧水型軽水炉(PWR)出力115万8000キロワットで営業運転を開始。現在、3号機(出力約91万2000キロワット)の建設計画があり、2008年10月の運転開始を目指している。訴訟は、稼働前の1988年8月に「将来の放射能汚染を事前に防ぐ訴えの権利」として「生命や身体を守る人格権と環境権」を主張して起こされた。当時4万人近い賛同者を得て約1000人が提訴し、反原発では全国でも最大規模のマンモス訴訟になっていた。これに対し北電側は、「通常運転で放出される放射性物質は微量で危険性はないし、事故対策や安全管理は十分に行なっている」と主張していた。

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