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「戦後最大の薬害事件」での「医師の刑事責任」を問う裁判で東京地裁、医師無罪の判決。
血友病患者への非加熱血液製剤投与を指示してエイズウイルス(HIV)に感染、死亡させた元帝京大副学長・安部英被告の「業務上過失致死罪」に関する判決で東京地裁は3月28日、「当時、大多数の血友病専門医は非加熱製剤の投与をしており、元副学長だけに過失を認めることは出来ない」として無罪を言い渡した。
投与を指示したとされる1985年5〜6月当時、安部元副学長は既に非加熱製剤の危険性を認識。その後、時間が経過するなかで別の手段を取ることにより、患者の感染・死亡を避けることが出来た、というのが一般的な認識だが、裁判では、「非加熱製剤は代替製剤のクリオに比べ、止血効果や副作用の点で優れ、二つを比べた結果で非加熱製剤を投与し続けたことに、違反があったと評価できない」とした。
死者500人以上を出している「戦後最大の薬害事件」での初の「医師の刑事責任」を問う裁判は、「被告には血友病患者がエイズを発症して死亡する可能性のあることは予見できたが、その程度は低く、過失があったとは言えない」「非加熱製剤の投与を原則的に中止しなかったことに結果回避義務違反があったとはいえない」「被害者がエイズに感染して死亡した結果は誠に悲惨で重大だが、被告を処罰してほしいとの要請を考慮するあまり、業務上過失致死罪が成立する要件を広げてはならない」などの判断で、医師の無罪が認定された。
大阪地裁は昨年2月に、製薬会社の旧ミドリ十字元社長ら3被告に実刑(禁固2年〜1年4カ月)を言い渡しており、これとは正反対の判決になっている。
HIV訴訟原告団は判決について「被害者にとって受け入れ難いものだ」としたうえで「何人の患者が死ねば、安全な製剤が供給されるようになるのか。こうした医療に甘い判断が下される限り、日本の薬害問題はなかなか解決されない」「エイズの危険性を裁判官が低く見過ぎている。これでは薬害について、医療はまったく責任を取らなくていいことになってしまう」「高度の注意義務が必要なことは水俣病訴訟などで証明されているのに、赤信号を皆で渡れば怖くない、との論理で、医者の怠慢を免責している」と不満をあらわにした。
検察側は「十分な主張・立証を尽くして有罪を確信していたので、予想外の判決で驚いている。判決理由を検討したうえで、控訴の方向で協議する」としている。
弁護団は「無罪判決を当然の妥当な結論と考えている。医療行為における医師の刑事責任の有無という困難な問題について、当時の知見、医療水準に従って判断するという医療の問題を論ずるのに必要な基本的な視点を見失わず、すべての論点について説得力のある判決を下された。深く敬意を表する」とのコメントを出している。今回の判決は、同じ罪に問われている元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告の判決(9月28日東京地裁)にも影響を与えそうな気配で、「産・官・学」の癒着構造の中で発生した複合的過失の刑事責任の追及の行方が気になるところだ。(01・3/28)
東京地検は4月10日、判決を不服として東京高裁に控訴した。
※関連記事バックナンバー「断罪された薬害エイズ事件、禁固刑の実刑がくだる」
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事実上「丸裸」状態だった個人情報、流出規制や保護のための「個人情報保護法案」閣議決定。
これまで「丸裸」状態だった個人情報に対し、政府は3月27日の閣議で、初めて個人情報全体に規制の網をかける「個人情報の保護に関する法律案=個人情報保護法案」を決定した。
通常国会に提出して、成立を目指す。法案では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義し、「基本原則」として、個人情報を取り扱う国や地方公共団体、民間企業・団体・組織などに対して、本人の同意を得ないで個人情報を第三者に提供することを禁止するなどの「義務」を課した。
個人情報を第三者に提供する場合は、本人に対して利用目的を通知する義務を課すほか、本人の求めに応じてデータの開示や訂正の義務も規定した。
また、義務規定に反した業者に対しては、主務大臣が報告を求めたり、改善を勧告・命令。勧告や命令に応じない場合には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
報道、学術研究、宗教活動、政治活動を目的に個人情報を取り扱うものに対しては、憲法が定める表現、学問、信教の自由などを保障する観点から、こうした義務規定を適用しないが、個人データの安全管理や苦情処理のための措置を自主的に講じ、公表するよう求める「努力規定」を設けた。
今国会での成立は微妙な情勢だが、成立すればただちに施行される。ただし、義務規定と罰則に関しては、施行後2年間の周知期間を置くため、実質的には 2003年春の本格施行となる。 (01・3/27)
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元従軍慰安婦らの戦後補償訴訟で東京地裁、請求を棄却、広島高裁でも訴え退ける。
第二次大戦時に日本軍の支配下で徴用されるなどした韓国の元従軍慰安婦ら計40人が、戦後補償として1人当たり2000万円の支払いを日本政府に求めた訴訟で、東京地裁は3月26日、「国際法や国際慣習法も被害者個人が国家に賠償請求できる権利は認めていない」として、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。
また、憲法の平等原則に基づく補償請求についても「戦傷者戦没遺族等援護法や恩給法の国籍条項は合理的な根拠があり、立法政策の当否はともかく、国籍条項が憲法に違反するとはいえない」とするほか、元軍人らの未払い給与の請求権についても「日本と韓国との間の協定(日韓協定)実施で請求権などは既に消滅している」と却下した。
この訴訟は、韓国の「太平洋戦争犠牲者遺族会」の元軍人や元慰安婦および遺族らが「日本政府や軍に強制的に戦場に駆り出され、戦争被害に遭ったのは事実で、日本政府には国際慣習法の人道に対する罪を犯した補償責任がある」として1992年に提訴した。
元慰安婦による訴訟は、現在、9件が係争中。 今回の判決を受けて原告側は控訴する方針。(01・3/26)
※98年に山口地裁下関支部が「立法政策を怠った」として国に損害賠償を求める判決を出したが、双方がこれを不服として広島高裁に控訴していた「関釜裁判」で、3月29日、広島高裁は訴え退け、逆転判決を言い渡した。
戦時中に従軍慰安婦や女子勤労挺身隊員だった韓国人女性ら10人が、「従軍慰安婦や勤労挺身隊として連行され、性的暴行を受けたり、過酷な労働を強いられた」として、日本国に公式謝罪と計3億9600万円の損害賠償を求めていた。
広島高裁は「慰安婦、挺身隊員に対する謝罪と補償の立法義務は存在しない」として、損害賠償の支払いを命じた一審判決を取り消し、原告の訴えを全面的に退ける逆転判決を言い渡した。BACK
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自動車のNOx(窒素酸化物)削減法改正案が閣議決定、四輪駆動ディーゼル乗用車も対象で大都市圏での走行禁止へ。
自動車のNOx(窒素酸化物)削減法改正案が3月6日、閣議決定された。
2000年1月の尼崎公害訴訟判決で、ディーゼル排気微粒子の規制を怠った国の責任が指摘されたことから、改正案には、発がん性が指摘されるディーゼル排気微粒子なども、新たに規制対象に加えられた。
施行されると、大都市圏では、最新の排出基準を達成できないバスやトラックは、新車登録から8〜12年の猶予期間を過ぎると走行してはいけなくなるが、4WD(レジャー用四輪駆動車)などディーゼル乗用車も例外なく対象となり、新車登録から7〜9年の猶予期間が過ぎると使えなくなる。国内のディーゼル乗用車は約500万台で、乗用車全体に占める割合は12%程度と少ない。しかし、乗用車全体のNOx排出量の30%を占めることから、規制が強化された。
また、対象地域も東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県の196市区町村に名古屋市周辺の 20〜30市町村が新たに加わる。2002年5月から施行される予定。(01・3/6)BACK
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KSDをめぐる政界汚職で東京地検特捜部、元労相の村上正邦前参院議員を逮捕。
KSDをめぐる政界汚職で捜査を続けている東京地検特捜部は3月1日夕、元労相の村上正邦前参院議員を受託収賄容疑で逮捕した。
KSD中小企業経営者福祉事業団をめぐる受託収賄容疑事件での国会議員の逮捕者は、小山前参院議員に続き2人目。村上前議員は森首相誕生に深く関与したいわゆる「5人組」の1人で参院自民党の実力者。ちなみに小山前参院議員は村上議員の元秘書。村上前議員は、KSDの古関忠男前理事長から国会質問の見返りに事務所賃貸料など2200万円余と現金5000万円の計7200万円余の利益供与を受けたとされるが、2月28日の国会での証人喚問では、証言を拒否していた。
村上元労相は、KSDが進めていた「ものつくり大学」構想について古関前理事長から有利な国会質問をするよう依頼=請託を受けた。また、「ものつくり大学」の建設候補地が未定だった頃には、埼玉県の土屋知事に誘致を要請=口利きによる利得斡旋をした。これを受けた同県は行田市への誘致を決定、大学建設構想が本格化した。
検察当局は「十分に立件は可能」と判断し、証人喚問が終わった段階で村上前議員の受託収賄罪を立件するために、逮捕状を請求する方針を立てていた。(01・3/1)KSDをめぐる政界汚職
KSDが政界工作として流した資金の総額は、分かっただけでも約18億円近いとされる。
このうち約7億円以上が、村上前参院議員に対して使われたとされ、また、陣中見舞いとして衆参両院議員らのべ142人に計4000万円近くがばらまかれた、とも言われている。
村上前議員をはじめ、小山孝雄前参院議員、額賀福志郎前経済財政担当相、柿沢弘治衆院議員、旧新党さきがけ、民主党などへ、KSD関連政治団体「豊明会中小企業政治連盟」が、政界とのつながりを深めるためにばらまき、カネの亡者たちが何の臆面もなくそれを手にしていた。BACK
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トンネル工事で西田元自治相の建設会社が下請け工事をトンネルして不当利益。
西田司元自治相が事実上のオーナーを務める愛媛県大洲市の建設会社西田興産が、愛媛県発注のトンネル工事を中堅ゼネコンの若築建設に「丸投げ」して約3億8000万円の利益を得ていたことが、国土交通省などの調べで分かり、営業停止処分を決めた。
丸投げがあったのは愛媛県八幡浜市などで建設中の事業費約19億1000万円の「須田トンネル工事」で、97年8月の入札で地元の堀田建設が落札した。
落札した堀田建設は、それを若築建設に下請けに出すという内容の「下請け施工通知」の届け出を県に提出。ところが堀田建設は、主要な工事を約16億4000万円で西田興産に下請けに出し、西田興産がトンネル本体の工事を約12億6000万円で若築建設に下請けに出すという、いかにもトンネル工事らしい「トンネル企業」の役割で、西田興産が何もしないで約3億8000万円の差額を得ていた。事業費約19億1000万円−16億4000万円=2億7000万円が、何もしないで堀田建設の利益になり、16億4000万円−12億6000万円=3億8000万円が、何もしないで西田興産の利益になる、という典型的な土建屋のコロガシで、土建利権のための公共土木事業という相変わらずの腐敗入札工事例となっている。
これについて西田元自治相は、国土交通省が営業停止処分を決めたことについては「行政の判断に異議申し立てはしない。丸投げについて会社に十分な知識が足らなかったことはオーナーとして反省せねばならん」としたものの「仕事はしており、立派に工事はできている。利ざやを返すことは考えていない」と表明した。
工事を発注した愛媛県も「積算に基づいて入札が実施され、元請けが落札した価格で発注した。工事費をどう使うかは元請けに任されており、施工不良でも発覚しない限り、業者に口出しできない。返済を求めるのは難しい」としている。
しかし、建設業法では、元請け会社は、施工管理上、すべての下請け発注状 況を台帳に記載するよう義務づけているが、元請けの堀田建設は、契約変更を施工体制台帳に記載していなかった。また、発注者の県も、建設省と共に調査に乗り出す昨年秋まで、西田興産の関与を知らなかったといういい加減さで、「業者に口出しできない。返済を求めるのは難しい」との理屈は通らない。
トンネル工事の事業費のうち10億5000万円が国の補助金だが、補助金を交付した国土交通省も「県に違反行為がなければ、補助金返還を求めるのは無理」としており、建設業法に違反していても土建利権は、やったもの勝ち、という認識を示した。(01・2/21)
国土交通省は3月2日、西田興産と、丸投げを受けた若築建設、元請けの堀田建設に対し、公共工事に関する営業活動の停止命令と、四国地方整備局発注工事での指名停止の処分をした。発注元の愛媛県もこの3社を指名停止にした。しかし、処分内容は甘く、西田興産と若築建設は営業停止が16日、堀田建設は7日、四国地方整備局の指名停止が西田興産と若築建設は2日〜2カ月、堀田建設は1カ月、愛媛県の指名停止が西田興産と若築建設は4カ月、堀田建設は3カ月。
西田元自治相は「大変遺憾なことであり厳粛に受け止め、深く反省し、社主としておわびしたい。今後2度と起きることのないようできうる限りの指導をしていきたい」とコメントを出したが、利ざやを返すことは考えていない。
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「トンネルじん肺訴訟」で和解が成立。
新幹線などのトンネル工事でじん肺になったとして、18道県の患者ら26人が大手ゼネコンの鹿島建設、ハザマなど31社に1人3300万円の損害賠償を求めた「トンネルじん肺訴訟」で2月15日、東京地裁において和解が成立した。
東京地裁が示した和解案では、企業側が総額約3億9880万円を支払うのはもとより、被害は現在も発生していることから、企業側に今後の十分な防止策の徹底を要請すると共に、発注元の国や自治体などに対しても「企業側がじん肺対策を講じることができるよう最大限の配慮を要望したい」と提唱している。
また企業側に対しては「被害を防げなかったことを厳粛に受け止め、じん肺根絶に向けた努力を表明し、今後提訴を予定している200人以上の患者も含め時効による請求権の消滅を主張しない」とした。トンネルじん肺訴訟は、全国23地裁で計1170人の患者(うち155人が死亡)が賠償を求めているが、他の訴訟も同様の条件で順次、和解し、年内にすべてが成立する見込み。和解金は1人1300万〜2200万円。
今回の和解案について全国トンネルじん肺弁護団では「炭坑などじん肺をめぐる和解はこれまでもあったが、今後の被害防止に向けた裁判所の提言などが初めて盛り込まれるなど、画期的な内容だ」と評価している。(01・2/15)BACK
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利権をめぐる腐敗政治の片りんにメス、東京地検特捜部、議員秘書給与の供与を賄賂と認定。
東京地検特捜部は2月6日、議員秘書の給与として計約1600万円余りをKSDから受け取っていたとして小山孝雄前参院議員を受託収賄容疑で再逮捕した。また、KSD古関忠男前理事長を贈賄容疑で逮捕した。
小山容疑者は98年7月から99年10月までの労働政務次官時代に、KSDが推進していた「ものつくり大学」の建設をめぐって旧労働省の補助金増額を同省幹部らに働き掛けるなどの依頼=請託を受け、その見返りとして古関被告に秘書給与を肩代わりしてもらい、私設秘書として雇っていた労働省OB2人の給与計約1600万円を「ケーエスデー福利厚生協同組合」(額賀福志郎前経済財政担当相にも資金提供した組合)から受け取った。
企業や団体などが議員を抱き込むために議員秘書の給与を肩代りするのは、ゼネコン汚職など過去の事件の例をあげるまでもなく贈賄側の常套手段で、また、国会議員も「寄付行為」という名目でこれを要求するのが永田町の非常識な常識になっている。
国会議員の国会での質問や動き、そして、職務権限に絡んだ行為が、特定の企業に有利になるということがいわばこれまで、そしてこれからも永遠に続く「国策」に名を借りた利権で、国会議員と企業や団体の「甘い関係」でもあるが、今回、検察は「請託と職務権限にからんだ行為があれば、明確に賄賂として認定できる」として国会議員の秘書給与肩代わりを賄賂と位置付け、小山容疑者と古関被告を贈収賄罪で東京地裁に起訴した。(01・2/7)BACK
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根腐れ官僚の姿勢、変らず。外務省要人外国訪問支援前室長の億単位国費不正流用問題の調査報告、曖昧なまま。
公金である機密費(報償費)の一部を私的に流用していた疑いがあるとして外務省要人外国訪問支援室前室長を警視庁捜査2課が事情聴取している問題で外務省は、調査報告書をまとめた。
これまでの警視庁の調べなどによると、93年10月から5年8カ月間在籍した要人外国訪問支援室長時代に、外遊の際に使われる首相と随行団の機密費を自分名義のクレジットカードで支払うことを外務省上層部に承認してもらい、受け取った費用を自分名義の銀行口座に毎月数100万円単位で現金で入金。この際、カード決済に使う口座とは別に定期預金口座などを複数開設し、決済後の余剰分を移し替え、前室長が別のポストに異動する99年6月まで移し替えは続いた。それまでの入金総額は6億円を超え、残高は2億円あった、というもの。
その一部は、約8000万円の文京区内のマンション購入や総額約1億6000万円にのぼる競走馬購入および飼料代などに充てられていたとみられている。
外務省が1月25日に発表した外交機密費流用事件に関する調査報告書では、室長在任期間中に前室長が自分名義の銀行口座に入金した機密費の累計は約5億6000万円にのぼり、首相外遊のための経費として口座から引き落とされた額は約2億5000万円で、残りの約3億1000万円は使途不明、とした。
機密費に内閣官房費が充てられたとされる点については、「官邸から受領した現金」と曖昧な表現にとどめた。
元室長は、銀行と郵便局に合わせて7口座を持っていたことを確認したが、機密費を直接入金していた銀行の口座以外については、資金の出入りを特定できなかったとした。 また、マンション購入、競走馬16頭の所有、ゴルフ会員権5枚購入については、機密費が充てられたかどうかは確認できなかったとした。
この使途不明金のうち5400万円は前室長が競走馬の代金などとして横領したことが判明したため、元室長を業務上横領容疑で警視庁に告発し、懲戒免職処分とした、とまとめた。
また、外相、副大臣、事務次官ら現役主要幹部および元室長在任時の幹部合計16人は、懲戒減給や給与の自主返納などの処分とした。 改善策としては、要人外国訪問支援室を廃止して首相外遊時の業務は官房総務課長の直接責任で行なう、とした。警視庁は、外務省に対して機密費の会計書類の提出を求める一方、流用の全容解明を進めるが、曖昧な幕引きが早くも予測されている。(01・1/26)
機密費=正式名称は「報償費」で、外務省が所管する「外交機密費」と内閣官房長官が所管する「官房機密費」などがあり、情報提供者への贈答品や接待など、外交交渉や国の政策を円滑に進めるなどの目的で支出されるもの。
使途を公開する必要がなく、会計検査院への領収書提出も免除されているため領収書を取らないケースが多い。
このため使途の実態は、ほとんどが議員外遊の「お小遣い」や官僚の飲食や豪遊費として浪費されている模様。福田官房長官は、流用された国費が外務省の「報償費」から工面された首相官邸の「内閣官房報償費」だったことに関し、私的流用の事実が判明した場合は、「官房機密費の使途や金額など、発表できるものは発表したい」と述べている。
本年度当初予算で外交機密費は約55億7000万円、官房機密費は約16億2000万円が計上された。BACK
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人権救済機関の設置構想に報道機関が異議。
政府の人権擁護推進審議会が打ち出した人権救済機関の設置構想については、異論が多く、特に報道機関を調査の対象とするかを巡り議論が起きている。
日本民間放送連盟や日本雑誌協会、日本書籍出版協会などは「公権力監視機能の制約につながりかねない」として除外を求めた。憲法学者やメディア 研究者らも、「表現・報道の自由への適切な配慮を欠き、公権力による人権侵害が軽視されている」などとして、審議会案の抜本的見直しを求めた。
除外を求める側は、表現・報道の自由が人権を守る基本になり、差別などの人権問題に果たしてきた役割をあげているが、報道被害も現実にあることから、日本弁護士連合会は、「過剰な取材による人権侵害や報道によるプライバシー侵害などは、広く積極的な救済の対象とすべきだ」とする意見書を提出、除外すべきではない、とした。
人権救済機関については、「独立性が確保されない場合には、人権機関の設立そのものを再検討すべきだ」とする意見が圧倒的。(01・1/19)
人権救済機関
人権侵害にあった場合の擁護や被害救済を検討してきた人権擁護推進審議会が審議の中間取りまとめを発表したのは2000年11月28日。
人権侵害については「差別」「虐待」「公権力による人権侵害」「メディアによる人権侵害」「その他」に分類したうえで、現行の救済制度は任意で実効性に限界があると指摘。強制調査権をもつ独立した人権救済機関の新設による積極的な救済を提言した。
積極救済の対象例として「人種、民族、信条、性別、社会的身分、家柄、障害、病気を理由とする差別」「学校の体罰や学校・職場でのいじめ家庭や職場などで女性や子供、高齢者、障害者など力の劣る者に対して行なわれる虐待」「犯罪被害者とその家族、被疑者・被告人の家族、少年の被疑者・被告人などに対する報道によるプライバシー侵害や過剰な取材」などを挙げているが、公権力の人権侵害に関しては「不服申し立てなどの制度と役割分担がある」として、消極的に公的機関の差別、虐待にとどめている。
一般からの意見も募り、2001年の夏までに答申する予定。BACK