●観世流能楽『仕舞』公演が実現●
連句大会開会式典では、長宗閑祥会による観世流能楽「仕舞」公演が実現。
仕舞 『笠之段』 長宗敦子
地謡:水木 浩・長宗一雄・千住昂之
【仕舞】能楽形態の一つ。本来の能は長時間にもおよびますが、その見どころの部分だけを短時間で、能面・能衣装・囃子・大道具を用いずに紋付袴姿で、地謡だけをバックに舞うものです。
国内でも数少ない女性能楽師・長宗敦子さんの舞う「笠之段」、水木 浩・長宗一雄・千住昂之3氏の地謡。旧くから俳諧(連句)師に多大な影響を与えた「能楽」。その伝統芸能が醸し出す日本の美を味わうことが出来ました。
【仕舞・笠之段】能「芦刈」にある見どころの一部。
津の国・難波に、貧しさゆえに別れた夫婦がいた。女は都で貴人に仕える生活をし、難波に残る男は芦を売り歩く生活をする。そんなある日、従者を伴い里帰りした女が、難波の春の浦に夫を捜しにやってきた。夫とは知らず芦売に声をかける従者。妻の一行とは知らず面白く囃しながら芦を売る男。一行に対して男は、問われるままに仁徳天皇の皇居があった御津の浜の由来を語り、興に乗って笠づくしの舞いを見せる。
「難波の春と言えば梅。その梅に鶯が戯れると花笠が縫われる。鳥といえば、カササギは笠の名を持っており、カササギが飛ぶ空には月が光る。月の笠とは天の乙女の衣笠なのでしょうよ。ここ難波の乙女たちは、雨が降ると袖や肘を笠の替わりにするのです。雨の芦辺には波が打ち寄せて、ざらりざらり、ざらざら、ざっと芦がなびくさまは、まるで風が簾を吹き上げるような、面白い景色なのであるよ」
その笠づくしの舞いが「笠之段」である。
やがて芦を手渡すところで男は妻だと気付き、夫は今の己の有様を恥じて身を隠してしまう。だが妻は自ら夫の心を解きほぐし、和歌を詠み交わし、別離後の恋しさを語り合う。そして再会を果たした二人は、再び心を通わせ、一緒に暮らすのだった。
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