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錠前メーカーに特需?

 針金に似た特殊工具でドアなどの錠を間単に開けてしまうピッキングによる窃盗被害が大都市を中心に広がっている。昔から、なぜだか「空き巣」や「放火事件」が師走犯罪の定番のようになっているが、今年の師走は、「ピッキングによる窃盗被害」が続発、その自己防衛策として、錠前を付け替える動きが加速しており、錠前メーカー各社は、殺到する注文をさばくためフル生産体制を強いられている、とか。 
 特に需要の多いのがピッキング対策製品で、各メーカーの生産はパンク状態。「注文が殺到するのは嬉しいが、何だか率直には喜べない」と、窃盗被害続発による異常なまでの特需発生に複雑な思いをのぞかせている。

 メーカーのなかには、この特需に対応するために24時間のフル稼働生産体制をとる所もあるが、それでも「需要に追いつけない状態が続いている」とかで、受注から納入まで早くて3カ月、遅ければ「来年の今ごろ」になる可能性も出てきているようだ。

 あなたのお宅は大丈夫?
 えっ「盗られるものはな〜んもない」ですか。それはわが家も同じ。「ピッキング対策に錠前を交換しよう」と見栄をはって言ってみたいもんですなあ。

 ピッキングを得意とする窃盗団は、錠前メーカーからの「特別功労賞を贈呈します」の授与式典への招待状を今日か明日か、と待っている?(12月6日)

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日本おにぎり隊と米の減反

 高齢者が立ち上げた民間ボランティア団体「日本おにぎり隊」が11月8日、国境紛争を逃れた多くの避難民が飢餓の不安にさらされている東アフリカのエリトリア の難民救済に向けて日本をたった。
 この「日本おにぎり隊」は、エリトリアのアメリカ大使夫人で、日本出身のかつ子・クラークさんが1999年秋、日本の友人らに現地避難民の惨状を電子メールで訴えたのがきっかけで、2000年6月、7人の高齢者有志が集まって結成された。

 アフリカ東部の紅海に面するエリトリアは、約30年にわたるエチオピアとの戦争ののちの1993年に独立国家となったが、国境紛争が続き、国内の避難民は100万人を超えた。2000年6月に停戦協定を結んだもののエリトリアにはまだ多数の避難民キャンプがあり、国境紛争を逃れた多くの避難民が飢餓の不安にさらされている。クラークさんは、この現状を関西に住む友人に電子メールで報告し、支援を呼びかけた。
 これに関西や関東、東北の高齢者7人が呼応して「炊き出しで避難民を助けよう」と日本おにぎり隊を結成。海外ボランティアの経験がある宮城県仙台市の71歳の女性が、炊き出しに使うお米の寄付などを知人などに依頼。これに賛同した高校生や小学生らが「米の一握り運動」を続け、1トン以上の米を集めるなど、若者やこどもたちを中心に呼びかけの輪が広がり、支援実現にこぎつけた。

 エリトリアの難民救済に向かうメンバーは、いずれも65歳以上の高齢者で編成する日本おにぎり隊隊員7人と、この取り組みに賛同して集まった物資運搬などを手伝う若者30人のサポート隊。
 11月19日の帰国まで、現地で炊き出しをする。

 こんな動きを耳にする度に、毎度のことのように思うのが、国内での稲作動向。飢餓難民・・・そうしたなか日本では、馬鹿のひとつ覚えのように米あまりに対応する政策として不毛な「米の減反政策」が繰り返されている・・・。このギャップ、何とかならぬものか?(11/8)

※「来年度の米の減反面積、100万ヘクタール超え」の記事

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眠る2000札、消えゆく宿命?

 小渕前首相発案の2000円札、やはり利用頻度は少なく、製造された札の7割近くが日銀の倉庫に眠っている。
 勿論、利息もつく筈もなく、廃棄も出来ず、このままでは紙幣としてまったく流通しなくなりそうな雰囲気も出始めたようだ。

 2000円札は現在までに約4億5000万枚以上が印刷製造されたが、市中に出回っているのは約1億枚程度で、8月以降、日銀に対して銀行からの引きだしも殆どないに等しい状態だとか。
 2000円札は、沖縄サミットがらみで今年7月19日にデビュー。しかし、予想通りの使いづらさ、および必要性のなさから、無視され続けている。

 このままではこれまでの出回り分も日銀に舞い戻り、まったく無駄になるとの危機感からか、大蔵省は、各省庁に対して、旅費や給与などを現金で支給する際にはなるべく2000円札を利用するよう、大蔵省名で「要請文」を出すほどの動揺ぶりで、唐突に出現した新札は、たった3カ月足らずで、とんだお荷物になっているようだ。

 郵政省は、年末までに郵便局のすべての現金自動預入払出機(ATM)で2000円札での入金や振り込みができるよう、約40億円近くをかけて全国のATMを改造するが、改造したATMは、2000円札の入金はできるが、払い出しは1万円札と1000円札のみ。
 これでは、出回るよりもATMに吸い込まれる方が多いので、2000円札は、やはり最終的には日銀に舞い戻るしかない宿命のようだ。

 この際、日銀名で「大セール!いま2000札ご利用者さまに限り1割引きでお渡しします。損益は国民の税金にて補填しますから安全です」のチラシでもバラまく?

 それとも、自民党名で「賄賂は2000札でお渡しください」との挨拶文を癒着企業に送付する?

 それともそれとも、景気対策・地域振興券のパート2として、2000円札をばらまく?(10/22)

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秘境・辺境「景気の谷」

 「景気は上向き」とかけ声がかかっても、一向に実感が伴わないのが庶民の実感。そんななか、学者などで構成する経済企画庁の「景気動向指数研究会」は6月19日、「景気の谷」は昨年4月だったと判定した。

 経企庁などが表現する「景気の谷」は、「景気が底入れした」と同意語で、「景気の谷は昨年4月だったと判定」という語意は「景気が後退局面から拡大局面に転じた転換点が昨年4月」ということ。いわば「昨年4月から景気が回復に向かった」と判定した、ということ。
 ならば「回復宣言」へと向かうのかといえばそうでもないらしく、経企庁長官などは「谷の判定は学術的な決定にすぎず、宣言という意味にはならない」と述べ、不透明要素が多く横たわっている景気の現実では、「なお自律回復には至っていない」という認識を示した。

 この判定への猜疑心はひとまず置き、額面通り受け止めた場合、今回の不況期間は約2年強で、期間の長さは、世界同時不況が重なった第二次石油危機後の不況(約3年強)やバブル崩壊後の不況(約3年弱)に続くものとなった、とか。

 しかし、期間としては第二次石油危機後の不況とバブル崩壊後の不況は、その性質の違いから区切ることは出来るものの、今回の不況は、バブル崩壊後不況の延長線上に位置づく面もあることから、実際上は区切ることはできないし、端的に言い表す「何々不況」とのネーミングも難しい。

 今回の不況期間が約2年強とするならば、2年前は消費税率が引き上げられた時期。するとネーミングは「消費税率引き上げ不況」? だが、97年秋以降、金融機関の経営破たんで深刻さを増した不況を思うと、「金融機関の経営破たん不況」でもあるし、それを導いたのは「バブル期のうかれた気分」の挙句に「債務超過」に陥って経営破たんしたわけだからネーミングは「債務超過不況」?
 その修正軌道上で、貸し渋りが発生し、企業の大型倒産が相次いだ点をとらえると「債務超過解消貸し渋り倒産不況」?

 その煽りを受けてリストラが加速して失業時代に突入し、消費が冷え込んだことからみると「リストラ不況」?

 不況対策で打った小渕政権以降の政府の積極財政(?)は「何でもあり政策」型で、これで「最悪期を脱した」と判断する向きもあるが、財政赤字は雪だるま式に増え続けている。
 それも加味して、消費税率引き上げ・金融機関の経営破たん・債務超過解消貸し渋り倒産・リストラ・財政赤字等々を総合してあえてネーミングするなら、やはり現在の不況は「バチ当り不況」?

 だとすれば、「不景気対策」を言い訳にしての仁義なき首きりリストラを例にあげるまでもなく、バチ当りな現実はいまが盛り。むしろ「谷から丘」に向かって歩くその足場は悪く、足場を確かめながら時折周囲を見渡せば、晴れ間が見えたかと思うと濃霧が立ちこめ、さらにその頭上からは、今にも雪崩が押し寄せて来そうな、そんな気配を不気味に漂わせ、この「谷」の秘境度合を一層高め続けている。(6/20)

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BBSフォーラムには「景気や経済動向について」がテーマ設定されています。景気判断などについてご意見のある方は書き込み討論をどうぞ。


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ITを煽って、あとは野となれゴミとなれ?

 不景気のなかで起死回生の役者は情報技術関連(IT)が大主役。
 何でもかんでも呪文のようにITを唱えていれば、さもまともげに見えてしまうという時流(トイレンド)の真っ盛りだ。
 ネット利用事業、eコマース、ネットベンチャー等々、あたかもそれらの突出や占有傾向が、これからの時代の救世主だとでもいわんかのような偏性した時流で、「ヤマ師神話」的なものを一面では煽るかのような勢いでもある。

 そしてパソコンや携帯電話は、IT時代の情報関連産業や情報通信分野には欠かせないアイテムになり、次から次に新機能を備えた機種が登場し、今やそのモデルチェンジは3カ月ペースだという。

 そんな中で、使い慣れたばかりのパソコンや携帯電話を「もう古い」と愛想を尽かし、2年も経たないのに使い捨て、新機種から新機種へと渡り歩く人が増えている。そして、まだ十分に使えるにもかかわらず、中古として再利用にまわすこともせず、あっさりとスクラップになるパソコンは、国内だけでみても重量にして10万トン近くになるとも言われている。
 5年前には60〜100万円したパソコン本体は、今では性能が3倍以上もアップしたうえに価格はその半分以下になった。なかにはフルセットで購入しても20万円をきるものも出回りはじめ、この安価傾向が、これまで以上に、スクラップになるパソコンの増加に拍車をかけはじめた。

 「遅い」「重い」「容量が足りない」「必要なソフトがインストールできない」「互換性がまったくなくなった」の5拍子揃ったパソコンは、いくら気張っても、どんなに愛着を持っていても、「もう古い」の烙印を押す時期かも知れないが、何も2〜3年前に購入したパソコンを、使いこなせていないままにポイ捨てすることはない。メモリーやハードディスクの増設、CPUの交換や基本OSのバージョンアップなどでホローして使うほうが出費が増えるのならば、何もわざわざカネをかけて改修することもないが、そのまま使えるのであればポイ捨てする前に、再利用にまわすことを考えたいものだ。

 しかし、パソコン製造・販売業界は、車のフルモデルチェンジを遥かに凌いで「使い捨て文明」の先端を風をきって疾走し、あたかもポイ捨てを煽っているかのような勢いだ。それは「携帯電話」にしても同様で、道端でPR用のポケットティッシュでも配るようなポイ捨て感覚で渡されている。
 そして、情報技術関連産業は、現状ではシステム上あるいは技術上でも十分な熟練さを備えていないにもかかわらず、夢想か幻想かハッタリかの見境もつかぬまま、「いずれはこうなる」の技術やシステムを、多くの分野であたかも「いますでにこうなっている」と思わせるように巧妙に演出し、使い古された「ビジネスチャンス」のかけ声を合言葉にして「IT革命」の大合唱をやっている。
 だが実際には、未開の可能性を広大に秘めているインターネットの世界にしてみても、回線環境が依然として劣悪なのを筆頭に、接続料金の高さやサーバーの不安定さやセキュリティーの不完全さなどなど、IT革命を云々する以前の基本的な課題にどっぷりと首まで埋もれているのが現状だ。
 インフラが整備されてないままに「IT革命」の大合唱をやりつつ、2001年4月から施行されるリサイクル法では、メーカーに製品回収と再利用を義務付けていながらもパソコンはその中に含まれておらず、使い捨てすらホローできずにるというから滑稽だ。

 勿論、パソコンや回線環境、ポイ捨てを云々することがITを語ることでもなければ、パソコンやインターネット事情だけで、これからのITの行方を断定や推定できるはずもないが、これまで我々は、「消費は美徳」のかけ声で高度経済成長という路線を走った挙句にゴミ問題や廃棄物問題に悩まされると共にバブルに憂い、多くの教訓を得たはずだった。それなのに、自己責任の伴った独創性を育むと共に、高度な知的産業の集合も目指すとされるIT革命の現実もまた、未開の可能性を広大に秘めていながらも、それらとは縁遠い「あとは野となれゴミとなれ」の方式で、経済再生の救い主という片寄った役どころを与えられ、産業経済の領域においてのみに有効な価値観に支配され、相も変らぬ「消費は美徳」路線を進もうとしているかのようだ。
 そしてそれら一連の流れは、情報通信の発展や普及により生まれてくるであろう自然発生的な独創性のあるダイナミックかつ予測不能な本来の「ITによる革命」によって、大資本の固まりが、これまでの「既得権」を脅かされるのを防ぐための、あるいはこれまでの国のシステムやメカニズム、あるいは産業構造などが瓦解されるのを防ぐための、単なる算盤勘定の延長線上でのマーケット戦略にしか過ぎず、「IT革命」の本質とは異質の動きになっていくのかも知れない。
(5/30)

※テキサス大学が調査したアメリカでのインターネット関連企業の昨年の市場規模は、5240億ドル(55兆4000億円)で、雇用数は248万人、1年間で市場規模は約62%拡大。このペースで市場が拡大すれば「今年は8500億ドル(89兆9000億円)に達する」と予測しており、「ネット経済は18世紀の産業革命期より速い速度で成長している」とか。
 また、カリフォルニアにある調査会社が行なったアメリカの約1700世帯を対象にした最近の調査では、家庭へのパソコン普及率は約70%で全世帯の46%がネット接続。なかでもネット利用の2歳〜17歳までの子供の数は、97年の800万人から2500万人に達し、2005年までにはさらに70%増えるとし、「今後はチャイルドマーケットが拡大する」と予測している。

※日本は、科学技術研究費に占める政府支出の割合が欧米などに比べて少ないことから1980年代に「基礎研究ただ乗り」と批判されたが、今も、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟29カ国の中で最低であることが、NSF(全米科学財団)が発表した「科学技術指標2000年版」で判明。依然として「科学技術立国」を掲げるにはお寒い状態であることが分かった。
 科学技術研究費に占める政府支出の割合が最も多い国はポルトガルで約68%、日本は最低の約19%。先進7カ国の中で多い順は、イタリア約51%、フランス約42%、ドイツ約34%と続いており、日本だけが30%以下。民間研究費も含めると、アメリカの約20兆円超えに次ぐ2番手は日本で約14兆円。天下り用財団には湯水のよう予算を投入するのもの、政府がいかに生きた研究費の活用を促進していないかが鮮明になった。

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たかが「株価」されど「株価」の動揺で、
日本市場の侘しさ哀れ?

 投資家たちが一喜一憂する「株」。
 4月17日の週明けからの東京株式市場は、14日のニューヨーク市場の株価急落などを受けて、ほぼすべての銘柄が売り込まれて急落。たかが「株価」されど「株価」の動揺が起こった。何でも、バブル崩壊直後の90年4月2日以来、約10年ぶりの下げ幅を記録した、とか。

 景気の悪い国内では最近、これからのインターネットの急成長見込みを反映して、情報通信関連や精密機器株などが「底値」まで落ち込んだ他の株価を何とか下支えして平均株価を「それらしく」演出していたが、ニューヨーク市場の株価急落により、一気に急降下。売りが殺到して値が付かない情報通信関連株も多数でた。ナスダック市場をはじめダウ市場で多くの外国人投資家が株価の値下がり損を抱えたことから、東京株式市場で、損失補填や若干の利益を確保するために、売り注文を出したのを皮切りに、個人投資家や機関投資家も「こりゃマズイぞ」と幅広い銘柄で「売り」を進め、「あっ」という間に平均株価は2万円の大台を割り込んで、1800円以上も値下がりして1万9000円台も割り込んだ。

 ニューヨークダウ市場やナスダック市場は、その後も、乱上昇や乱降下と取引が活発化しているが、東京株式市場は、ニューヨーク市場の株価急落には敏感に連鎖反応するのもの上昇や取引の活発化には反応も鈍感で、極めてわびしくみみっちい展開になった。

 「景気は上げ模様」と思い込みたいのは人情だが、経済評論家やマスコミなどがこぞって政府と口裏をあわせるかのようにせっせとチョウチンを灯しても、IMF総会でも「日本経済は回復力が弱く依然としてデフレ傾向が懸念される」と判断されたように、本来の日本経済の実体評価での東証(日経)平均株価は、ヒイキ目に見てもせいぜい1万8000円台がいいところ。実質は1万6000円台なのかも知れない。
 これまで諸々の「上げ底」や「粉飾」を施してやっと2万円台を確保したものの、「株式市場の世界連鎖」の波のなかでその頼りなさが表面化。加えて、さらに上げ底を施すかのような東証(日経)平均株価の採用構成銘柄の入れ替えを控えていることから、除外銘柄への売りも増えて、実体経済の評価に近い普通の平均株価に戻った。
 採用構成銘柄の入れ替え後の初取引でも、実体経済を反映する株価動向になりそうで、利食いによる値動きはあるものの、大幅な株価上昇は期待薄のようだ。

 しかし、バクチにも似た株の本性が好きな連中は「下がったいまこそ、買い時」「大幅な動きがあってこその株」「ナスダック市場が反発すれば、やがて東京市場も右へ習えする」「アナリストらが強気の株価見通しを発表し続ければニューヨーク市場の値に東京市場も反応する」「新聞が『投資家は日本国内の景気について確実に明るさを増すと捉えている』とでも書けば平均株価も上がる」などと、古くさい感覚に左右されながら鼻息を荒げている。
 だが、現実は厳しく、震源地のニューヨーク市場の動向に連動するのは急降下の時だけで、同市場の急上昇には東京株式市場は極めて鈍感。これまで同様に、チョコマカと売ったり買ったり、上がったり下がったりの、たかが「株価」されど「株価」の動揺に埋もれ、極めて日本的なスケールのない侘しい取引が続く模様。

 やはり、しばらくは、多くの外国人投資家が東京市場に目を移すのを待つっきゃない? しかし、外国人投資家が東京市場に目を移すのは、ニューヨーク市場などでの損失補填を確保するために東京市場の株を手放す時だけ。
 偽らざる現実は、投資家たちの東京株式市場に対する期待感は依然として希薄で、これがどうやら日本経済の実情のようだ。

 さあ、また公的資金でもつぎ込んで、とりあえずのザル政策で今の体制を守り、凌ぐ?(4/19)

●その後、東証は連日の安値更新を繰り返し、1カ月余で2割強急落して安値水準に落ち込んだ。信用取引主体の個人投資家は損失分の穴埋めなどで持ち株売りに走り、外国人投資家の日本株売りも止まらず、「相場の上昇局面を主導する」とされていた情報通信株も売りが進んでほぼ総崩れ状態になり、買いについては「投資先がない」という局面を迎えた。

●経済企画庁が6月9日発表した国民所得統計速報によると、1〜3月期のGDP(国内総生産、季節調整値)伸び率は、物価変動の影響を除いた実質で前期比2・4%、99年度のGDP成長率は前年度比0・5%と、3年ぶりにプラス成長の数字を示した。2・4半期連続のマイナスの後、この数字では年率10%という高成長になり、現実と大きくブレた。
 集計法が不透明で、その時の政治情勢や都合などにより経済企画庁の裁量が加わっているとされる経企庁発表のGDPとの見方を裏付けるように、発表日の東京株式市場で日経平均株価は続落。1万7000円台を割り込んで取引を終えた。

●今年4月末の30銘柄の入れ替えに伴い、予測に反して計算上、平均株価大きく下落したことから、政府および与党側の総選挙対策として、大蔵省は省内の資料作成などで株価の指標を平均株価から東証株価指数(TOPIX)に変更。また「年初来安値」などの表現は原則禁止した。

平均株価
 東証一部上場の代表的な銘柄225社の株価の動きを示す指数。対象銘柄の株価の単純平均ではなく、特殊な修正算式で指数が出される。1950年9月に東京証券取引所が算出して「平均株価」指数がスタートした。その後、株式市況を放送する日本短波放送が引き継ぎ、現在は、日本経済新聞社が指数を運営・管理している。そして、2000年4月24日に日経は、産業構造の変化に対応するため30銘柄を一挙に入れ替えた。

東証株価指数(TOPIX)
 株式市場全体の株価水準を見る株価指数の一種。1968年1月4日の東証一部上場銘柄の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したもの。新規上場や増資など時価総額が増減した場合、指数の連続性を保つためその都度修正されるが、時価総額の大きな企業の影響を強く受ける。

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「出向」天と地、そして罪と罰

 サラリーマンが言い渡される「出向」には、「肩たたき寸前」か「依願退職寸前」か、など「哀愁」がただよう言葉の響きがあるが、天下りならぬ「おいしい天上がり」もあるようで、総務庁が集計した民間企業などから中央省庁への「おいしい」出向者数は、昨年8月現在で、省庁が民間から受け入れていた職員は常勤と非常勤を合わせて計329人だった。

 調査結果によると、最も受け入れが多かったのは外務省の77人で、次いで通産省の45人、科技庁の34人、経企庁の31人、文部省の24人、建設省の23人、・・・・・などなど。
 そういえば1998年の大蔵省の不祥事では、大蔵省に出向した後に銀行に戻った行員が「MOF(モフ)担」と呼ばれるポジショニングで力を発揮。大蔵省担当として同省の官僚への接待を繰り返し、「蜜月」をむさぼっていた実態が発覚したこともあった。

 親会社から系列の下請け企業に「出向させられる」哀愁と、企業から中央省庁に「出向する」蜜月は、出向といえども「天と地」ほどの違いがあるようで、いわゆる「天上がり」の出向は、省庁との癒着を確実なものにする役目を担う出世街道だ。罪を侵しても「出世」という2文字に惑わされ、最後は贈収賄による罰をかぶる危険性があるものの、命令には背けない。

 政府は、「行政の活性化のための官民交流は必要」としているが、農水省のキャリア官僚の出向先との関係による収賄事件発覚という例のように、官民交流は、「行政の活性化」を生むよりも、現実には「行政の腐敗」に一層、拍車をかけているようで、「天下り」も「天上がり」も「出向」も、早々に軌道修正、否、廃止をした方が良さそうだ。
 それよりも、実のところでの垣根を取り払った「民・官・学・産」などでの合同のプロジェクト、勿論、癒着や価値観の画一化や賤民意識や排他性はナシの、平場での取り組みを活発化させた方がマシのようだ。
(3/29)

※ついでに軽口コラム「国家公務員倫理規定」が出来たもののもどうぞ。

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「にじみ出た本心? 散髪行動と運発言」

 政府の危機管理&対応姿勢に関しては、過去から「なっとらん」との声が出ているが、3月8日の営団地下鉄日比谷線中目黒駅での車両脱線・衝突事故でも、事故直後に小渕首相が、「散髪」のため理髪店に行くという「のんき」ぶりだったことが、同日の国会での党首討論でバレた。

 民主党の鳩山由紀夫代表が党首討論でこの事を取り上げ、「その時間に散髪をしたのは、危機管理の意識が欠乏しているからでは」と首相の行動を批判した。
 これに対し、小渕さんは「クエスチョン・タイム(党首討論)もあることだし、まだ十分な情報がなかったので散髪に向かった。しかし、早く切り上げて帰った」と後ろめたそうに弁明した。

 また、新潟県の女性監禁事件発覚時の前新潟県警本部長と前関東管区警察局長が温泉旅館に宿泊して飲酒やマージャンをしていた問題に対し、「俗っぽく言えば、運が悪かったということかもしれない」と失言。この「予想外の言葉」に、「運が悪いとはナニゴトだ」などと委員会室は騒然となった。

 これに慌てた小渕さんは「そうではなく、ちょっと静かにしてください」と取り消そうと必死で、「私は俗に運が悪かったということでは過ごせない問題だと言った。良かったと申し上げていないことだけは、鳩山さんもご理解いただけると思う」と続けたが、時すでに遅し。
 「見つからなければ、みんなやっていたということをおっしゃったに等しい。非常に問題だ」と、鳩山さんにピシャリと言われ、小渕さんはひたすら釈明し続けた。

 文書と違い、行動や発言は、消しゴムや修正液では消せない。「散髪」行動と「運」発言、どうやら、小渕さんにとっては「運の悪いコト」だったようだが、隠せない本心がにじみ出た小渕さんの正直な1日だった。(3/9)

「正直な1日が最も輝いていた」

 しかし、こうした1日も、元気であったからできたこと。身体の不調を訴えて入院したかと思うと、あっという間に病状が深刻化し、たった1日で予断を許さない状態になってしまうとは、誰の立場や考えからしても「想定外」のことだった。
 さらに、公務復帰は絶望的で、脳こうそくの影響により、質問を理解したり意思表示をすることが困難とされ、憲法70条で定める「内閣総理大臣が欠けたときには・・・内閣は総辞職・・・」に該当するとし、入院2日後には、自らが辞任の意思を示せないまま退陣に至るとは、思ってもみないことだった。
 これにより、1998年7月に発足した小渕内閣は、約1年8カ月で幕を閉じたが、隠せないほどに本心がにじみ出たあの日の小渕さんの正直な1日は、病状の深刻化が伝えられる今となっては、「最も輝いていた小渕さんの1日」として記憶に残ることとなった。
(4/7)

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「土俵上は女人禁制」

 50%の投票率をきった緊迫感のない知事選(失礼!)で、初の女性知事となった太田房江大阪府知事が、日本相撲協会に、3月の大相撲春場所千秋楽で府知事賞を手渡すため土俵に上がることを求めたが、いとも簡単に「土俵上は女人禁制、これが相撲の伝統です」とはね返された問題で、止せばいいのに(これまた失礼!)社会民主党の辻元清美衆院議員が「女性であるという理由だけで日本相撲協会が拒否するのは女性蔑視だ」として日本相撲協会(時津風勝男理事長=元大関豊山)を訪れ、「伝統は大事だが、時代の流れに応じて勇気を持って変えていただきたい。公務である知事賞の授与に男も女もない、土俵へ上がらせて」と迫ろうとしたが、あいにく理事長不在で不戦。
 その時、雲隠れしていたのか、用事で不在だったのかは不明だが、その後、申入書に目を通した時津風理事長は、「土俵上は女人禁制、その伝統を守ることに変わりはない」と一蹴。「府知事にもご配慮いただけると思っている」と再び跳ね返した。

 一蹴された辻元議員は「今後の国会でも取り上げたい」と、戦う意気込みを示し、また太田府知事も「了承を」とねばった。

 自民党の橋本聖子参院議員の妊娠をきっかけに議論となっている国会議員の産休問題については、ほとんどの者が「産休確保の動き」を当然のこととして好意的に捉えており、後押しをしているが、土俵上の問題は「伝統の破壊」にもなるだけに、この一件で女人に軍配が上がるのは、やはり無理。

 たかが土俵、されど土俵。たかが伝統、されど伝統。たかが男、されど男。たかが女、されど女。ETC・・・。

 立場が違う中での主張や要望や議論や喧嘩などなどは、生きとし生けるものの基本的な営みのひとつだが、男女平等という意識や取り組みの中で今、何かが、そしてどこかか歪みはじめている?(2/18)

●その後、太田知事は要請を引き下げ、今回の一件は「土俵は女人禁制」の主張を貫いた相撲協会に、やはり軍配があがった。

●その後のその後、21世紀になっても「私の手で知事賞を渡したいという気持ちは変わらない」と、女性として初めてプロの土俵へ上がることに太田知事は再び意欲を示したが、日本相撲協会も「こちらも伝統を守る気持ちは変らない」として一蹴した。

※この問題を含め、BBSフォーラムに「男女共同参画社会と男と女と平等と」がテーマ設定されていますので、男女平等という意識や取り組みの中で今、何かが、そしてどこかか歪みはじめている現状などについて、ご意見や反論のある方は書き込み討論をどうぞ。

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「脱いだ!」大興奮

 観客がナマツバをのむ。ファスナーに手がかかると「うぉ」という声があがる。そして、スルリと手を滑らせてそれを下まで引き下ろすと、見つめる人たちの期待はさらに増し、ナマツバをのむ音と「うぉ」という声は一層高まる。
 その反応を小気味よく肌で感じながら、その人は何のためらいもなく一気に脱いだ。
 その瞬間、観客のテンションは最高潮に達し、地響きにも似た歓声が大興奮と共に沸きあがる。

 これは、注目のアイドルや女優がヌードになった瞬間を観た興奮でも、ましてやストリッパーがもろに特出しをした時の観客の興奮でもない。
 62歳の男、普通ならたそがれた雰囲気を醸し出す年齢の男が、ジャンバーをただ1枚「脱いだ」だけで、注目のアイドルや女優やストリッパーの「SEXY」な裸体披露を超えた興奮を呼び覚ましたのである。

 そう。「永遠に不滅です」の言葉と共に現役を引退し、今も人気は不滅のミスターこと「長島茂雄」が、宮崎の巨人サブ球場という「ステージ」で、おもむろにグラウンドコートを「脱ぎ」、あの永久欠番になったはずの「背番号3」が眩しいユニフォーム姿と共に蘇った瞬間の時である。

 泰平の世の中とはいえ、「脱ぐ」「脱がない」「脱いで」の思いだけで、あれだけの観客やマスコミを寄せ集め、上着をたった一枚「脱いだ」だけで、これほどの大興奮を呼んだというのは、後にも先にも、この直感男・ミスタージャイアンツだけが成し得た「極めて異例かつ特異な偉業」なのかも知れない。

 もうこうなれば次は「ワンちゃん」こと王貞治の「背番号1」? いっそのこと、このユニフォーム姿も蘇れ! といっても無理か。ダイエーのユニフォームに「背番号1」を付けても陳腐なだけだし、ダイエーの「背番号1」は秋山選手だしね。(2/13)

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軽口コラム

「国家公務員倫理規定」が出来たものの

 国家公務員倫理法が4月に施行されるのに伴ない、国家公務員が関係を持つ企業や団体などを筆頭にした「利害関係者」との付き合い規定を明文化する「国家公務員倫理規定」ができた。
 国家公務員の倫理問題は、目にあまる各省庁の汚職事件や過剰接待をきっかけに1999年、国会で、「5000円を超える接待は上司への報告を義務づける」などの倫理法が成立した。これを受けて「倫理規定」を具体的に明文化したもので、主な内容は、「割り勘でも、会食、旅行、ゴルフなどの遊技・遊興は禁止」「餞別、香典を含む金銭や物品の授受を禁止」「不動産や金銭の無償貸借禁止」「未公開株の譲渡禁止」「異動後であっても3年間は前職の利害関係者(一般の職員については職員が受け持つ事務の対象者や契約の相手方/本省の局長や審議官については、省庁の持つすべての許認可の対象者)との付き合いを制限」など。
 しかし、「多数を招いた立食パーティーでの飲食物や記念品の提供」「職務上の会議での簡素な弁当や菓子の提供」「必要最小限の事務用品の提供」「車での移動の便宜」などは「例外として許される行為」となる。

 裏を返せば、「ボクちゃんたち〜、いいでちゅかあ、これが規定、つまりキマリでちゅよ〜、よ〜く理解しましょうね」という手とり足とりの指導付きの文言で、「これまで官僚は、こんなことも自分の判断で出来なかった」ということを省庁らしく象徴しており、これからの施策や行政方針などを、これでよく立てられていたものだと、改めて実感するような倫理規定の明文化内容になっている。

 現実には、今も「公僕」の何たるかを忘れて「予算消化」に躍起になる官庁に、利害関係者が兎の目鷹の目で群がり、今日この瞬間もどこかで「袖の下」や「利権」が巧妙な手練手管で行き交っている?(2/1)

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