◆事務局コラム◆ |
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連句の日常【其の一/芭蕉な話】 月1回午後開催の定例連句会の午前、松尾芭蕉が巻いた俳諧(連句)作品の「読書会」を2008年2月から始めた。 自主的に参加した人たちが、毎回2時間で、『七部集』岩波書店・春秋社の2冊の解説書と安東次男著『風狂始末』筑摩書房刊・中尾青宵著『芭蕉さんの俳諧』編集工房ノア刊の2冊の解釈本、計4冊を用いて『冬の日』を読みとくことから開始している。 この4冊を選定した理由は単純で、七水がたまたまこの4冊を所持していたからで、他の所以はなにもない。 進め方は、最初に『冬の日』と『市中や』と『梅が香』の歌仙を全員が声を出して読みあげる。これは毎回だ。 4冊を吟味すると、その一句一句の解釈が多様なので個々の解釈本そのものに興味が湧く。時にはアンツグ本の「ふかよみ」具合に苦笑したり、意外にも(ご無礼!)青宵さん本に感心したり、参加者の反応も様々で、ゆっくりペースの読書会が進んでいる。 進み具合は1回の読書会で3〜5句程度。発句「狂句こがらしの身は竹斎に似たる哉 芭蕉」からはじまった解釈や参加者個々の感受・感応は様々だ。 時には、『冬の日』の付け句解釈というよりも、江戸時代に思いを馳せて、時代の生活感覚や人情の機微、芭蕉を迎えいれたこの時の名古屋連衆の人柄や思いなどに話題が広がることがあるので、ことのほかこの読書会は面白い。 現時点での参加者個々の感受・感応のなかで、『冬の日』の第三句までの解釈では、4冊の解釈よりもむしろ、第21回国民文化祭・やまぐち2006「連句大会」トークセッションでご提示下さった杉山壽子さん(愛知県・桃雅会代表)の見方が最も説得力があるようだ。杉山壽子説をご紹介しよう。
加えて、表六句の説明では4冊のなかで、中尾青宵さん本が得心いくものとなっている。それは、芭蕉〜野水〜荷兮〜重五〜杜国〜正平の順に付け合われた表六句は、それぞれに自己紹介と、その前句を受けて次を詠んだ人が、自句の中で前句を詠んだ人のことを=人柄をも=紹介しているユーモアな運びが含まれている、という説明である。 そのように多様で豊かに想像を膨らませて感受できる『冬の日』は、芭蕉作品の最高傑作と言えるだろう。これを9月までの8回で読み終えたいと思っている。 ●特別資料●人間・松尾芭蕉を考察してみれば 芭蕉の最高傑作『冬の日』はアニメーションとして世界のアニメーターたちの参画によって映像化が過去に実現しているが、実は、この『冬の日』を大胆にも2008年10月18〜19日開催の第2回山口県総合芸術文化祭「連句大会」で、音で奏でると一体どうなるか、を試みようではないかと企画している。 これまで歌仙『冬の日』を「総体のイメージとして」誰かが音にしたことがあったとしても、歌仙の一句一句を音楽で表現するという今回のアプローチは「日本初」いや「世界初」になるのかも知れない。極めて大胆で画期的だ。しかもシンセサイザーやデジタル処理ではなく、アコースティックでウッディーな楽器の特性を活かした全編オリジナルな構成である。 現代人の感覚では『市中や』や『梅が香』の作品のほうがリズムがいいので馴染みやすいのだろうが、これらよりも難解な『冬の日』は、そうであるから=難解であるから=アプローチが面白い、と思っている。 しかし、蒼水と七水に幸運にも(苦笑)出会ってしまったがゆえに、この難解な作曲にエネルギーを費やさねばならないハメに陥ったフルート奏者・小島のりこさんは大変だ。 この勇敢なミュージシャンのメンバー紹介は大会案内を含めておいおい当会ホームページ上でと考えている。 2008年5月 記 連句の日常【其の二/連句大会な話】 山口県では国民文化祭2006やまぐちを契機に「継続は力なり」ということで新たな文化振興策として創設された「山口県総合芸術文化祭」が2007年から実施されています。 当会は分野別部門で「連句大会」を継続開催し、参加されるみなさんや関係者の方々の一体感あふれるご協力で、毎回とても好評。感謝、感謝以外に言葉はない。 昨年(2008)の下関市赤間神宮での取り組みは、ちょっと気合いが入り過ぎ、かなり大胆な企画「JAZZ+松尾芭蕉『冬の日』コラボでライブ&セッション」を敢行してしまった。このいきさつや結果等々は、「とんでもない役目」を担わされてしまったJAZZミュージシャンの一文が最も分かりやすいので、それを参照していただきましょう。 さて、今年(2009)は? どうなる?? 岩国市〜防府市〜下関市ときたので、今回の開催地は山口市で、と考えています。開催予定日は11月21〜22日(土・日)で、詳細な内容は現時点では、毎度のことながら未定。 「毎回、あけてびっくり&楽しい玉手箱のような大会」とご感想を寄せて頂いているので、今回も楽しい玉手箱を用意するつもりで今、案を練っている、と言いたいところではありますが、流れに「のほの〜ん」と身を任せているのが正直なところ。 山口市と言えば「湯田温泉」。湯田温泉と言えば湯量豊富で、何と言っても「足湯」でしょう。「イヤイヤ 中原中也じゃん」とおっしゃる御仁もおられよう。まぁ、それはそれ。(・・・? ん?)。汚れちまった悲しみ、を癒す、にしても「温泉」にかぎりますじゃ。 2009年4月 |
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〒746-0025 山口県 周南市 古市 2-3-43
やまぐち連句会事務局
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