腐敗したニュースゴミ&さえないニュースゴミ
●99'その二/ビジネスチャンスの食いもの、今年も腹いっぱい●

「不良債権隠しはおまかせください」と、日本企業を顧客に「飛ばし商品」で、手数料ガッポリ。
●「私たちが貸し渋る分、あなたたちが儲けてください」と、銀行、貸金業界「商工ローン」とがっちりスクラム。

●修学旅行は旅行代理店にとっては、格好の食いものとヤミカルテルで大儲け。

●フェアープレーの大義名分を隠れミノに、国際オリンピック委員会IOCは収賄や汚職の巣窟づくりにいそしみ「これぞビジネスチャンス」とニンマリし続ける。


●「不良債権隠しはおまかせください」と、日本企業を顧客に「飛ばし商品」で、手数料ガッポリ。

 金融監督庁の調べによると、金融監督庁に対する検査妨害事件で知られる「クレディ・スイス・ファイナンシャル・プロダクツ(CSFP)銀行東京支店」と系列証券会社が、日本企業が抱える「不良資産飛ばし」の金融商品を販売して得た手数料は、5年間で総額約340億円に達していたことが分かった。
 銀行法違反(検査妨害)容疑で逮捕された東京支店長が就任中、手数料収入が倍増し、売り上げの40%がこの手数料だった。

 問題の金融商品を販売して得た手数料は、94年には約13億円だったが、その後、バブル崩壊後の地価や株価の下落で日本企業の不良債権が膨らんでいくのに比例して、右肩上がりに伸びていき、不良債権処理に悩む多くの日本企業がこれに飛びつき、同支店の業績を後押ししていた実態を裏付けた。

 日本企業が飛びついた「飛ばし商品」は、含み損が出た有価証券などを、デリバティブと呼ばれる「金融派生商品」として複雑な取引を駆使し、海外のペーパーカンパニーに飛ばして企業の損失を隠すというもの。このわけも分からない商品には、エサいらずで不良債権を抱えた日本企業が喰いついた。
 すでに監督庁の調べでは、不良資産隠しや不良債権処理の先送りで、問題の商品を購入した日本企業は少なくとも約60社に上り、飛ばしの総額は約5700億円になっていることが判明している。この中には、北海道拓殖銀行、東京相和銀行、足利銀行なども含まれている。

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●「私たちが貸し渋る分、あなたたちが儲けてください」と、銀行、貸金業界「商工ローン」とがっちりスクラム。

 過剰で強引な融資と商取引を逸脱した取り立てなどで被害が増加している「商工ローン」問題で、商工ローン上位3社(日栄、商工ファンド、シンキ)に対し、多額の資金を供給している大手銀行15社合計の融資状況(融資残高)が、金融当局の調べで明らかになった。
 主な大手銀行は、邦銀では第一勧業、三菱信託、大和、東海、東洋信託、富士、さくら、安田信託など、外資系では、ユービーエス・エイ・ジー銀行、シティバンク、メリルリンチ銀行、パリバ銀行、アイエヌジー・バンク・エヌ・ヴイなどで、1998年度末で8228億円にのぼった。1995年は4817億円だったが、1996年には5670億円、1997年には7036億円と毎年、確実に大手銀行の商工ローン業界への融資額が膨らみ、景気悪化による不良債権問題で銀行の貸し渋りが強まっていった状況に比例して商工ローン業界に多額の資金が流れ込んでいる実態が浮き彫りになった。

 この背景には、銀行自らが、他への融資を減らし、「貸し倒れ」リスクのない商工ローン業界を「優良企業」と位置付けて、この業界向けへの融資を増やすことで収益向上を図るという経営方針があるものと見られる。
 銀行が2〜3%の低利で貸金業者に融資したものが、最低でも20〜30%の高利で零細・中小企業に貸付られていき、不況と銀行の貸し渋りをバネに商工ローン業界は飛躍的に業績を伸ばすという「スーパーチャージャーターボ型」で、銀行は業績を伸ばす商工ローン業界にさらに貸し込んでいくという馬鹿げた金融構造を下支えしている。

 過去のいわゆる「サラ金被害」でも、その構造を下支えしたのは銀行で、その腐敗した経営体質は依然として健在だ。

 そんな状況の中、金融再生委員会は12月7日、1999年3月に公的資金で資本注入した大手銀行など15行の中小企業向けの貸し出し状況をまとめたが、依然として中小企業向けへの貸し渋りを続行していることが分かった。
 公的資金の注入条件として、15行は、1999年3月末から2000年3月末までの1年間で中小企業向け貸し出しを計2兆9921億円増やすことを約束していたが、9月末までの増加額は6873億円にとどまった。
 再生委は、公的資金の注入を決めた際、中小企業に対する銀行の貸し渋り問題が続いていたことから、中小企業向けの貸し出しの増加目標を盛り込んだ経営健全化計画を15行に提出させた。今回はその1回目の集計。

 各行別では、富士銀行、東海銀行、大和銀行、日本興業銀行、三井信託、三菱信託の6行が逆に貸し出しを減少させており、半年間で15行の目標達成率は23%という「渋り」ぶりだった。
 逆に貸し出しを増やしたのは住友銀行の3465億円だった。あさひ銀行も2904億円増やし、両行は、半年で年間目標を達成した。

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●修学旅行は旅行代理店にとっては、格好の食いものと闇カルテルで大儲け。
 公正取引委員会が6月16日、大阪府内の公立高校の修学旅行で旅行会社9社が利益確保のためのヤミカルテルを結び、独占禁止法に違反したとし、カルテルをやめるよう排除勧告した問題で、9社は勧告対応期限の6月28日までに勧告の応諾を公取委に通知。これを受けて公取委は、業者に対し審決を下し、違法行為で得た利益をはく奪する課徴金(受注金額の原則6%)の納付を命じた。

 セコイ商売で勧告を受けたのは、JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、東急観光、東武トラベル、名鉄観光サービス、阪急交通社、西鉄旅行、京阪交通社。
 公取委によると、9社は修学旅行の営業責任者を集めた会合を不定期に開き、修学旅行の見積価格下落を防ぐため、手配などの手数料を原則として旅行費用の10%に定めるなどの方法で通常より高い見積価格を設定するよう取り決める他、運賃など旅行費用についても共通の算定方式を定め、違反した会社には受注を辞退させたり、除名するなどの処分をしていたというもの。

 9社が修学旅行を取り扱った学校は府立高と大阪府内の各市立高、計187校。長野方面のスキー場や沖縄、北海道などに年間で約200回、生徒約3万6000人の旅行が催され、取扱額は97年度で実に計約36億円にも上る。

 こればかりではなく「高校の次は中学だ」と、大阪府内の中学校460校の修学旅行でも、手数料などのヤミカルテルを結び一儲けしていた。

 公取委が修学旅行に関して旅行業者に排除勧告を出したのは初めて。
 これらの契約に関しては、見積書の精査や各校独自に契約内容を調査・検証するよう教育委員会が各学校に通知しているが、ほとんどの学校は、修学旅行予算の計算は旅行会社まかせというのが実態だ。そうした学校関係者の怠慢を見通した上でのヤミカルテルは、ほぼ慣行化している模様で、全国レベルでの総点検も必要なようだ。

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●フェアープレーの大義名分を隠れミノに、国際オリンピック委員会IOCは収賄や汚職の巣窟づくりにいそしみ「これぞビジネスチャンス」とニンマリし続ける。
■2002年冬季五輪の開催地ソルトレークシティーの招致委員会が、五輪招致に絡んで国際オリンピック委員会(IOC)委員にわいろを贈ったとの疑惑が持ち上がったことを発端に、「汚れた五輪」の実態が表面化したが、長野冬季五輪招致でも、過剰接待や過剰献上を筆頭に、番外編でも次々に常識外れの事実が表面化した。
 IOC賄賂とは無関係だが、最近になって1991年6月に開催されたIOCバーミンガム総会のプレゼンテーション用に長野側が作った18分間のビデオ制作費が、実に約2億円に上っていたことも元招致委員会幹部らの話で分かった。

 極めて高額の制作費は「コンピューターグラフィックス(CG)を駆使して試写や修正を重ねたため、そのような額になってしまった」らしいが、このビデオ制作を受注した広告代理店と招致委の癒着も今後、問題になりそうだ。
 ちなみに当時の招致委広報費は総額3億5800万円で、ビデオ制作費はその五割以上を占め、招致委はしっかりとカモられ、制作側はとてもバブリーな気分を満喫した模様だ。

 バーミンガム総会は開催地を最終決定する重要会議で、ビデオによるプレゼンテーションは、投票するIOC委員へのアピール度が大きく、各候補地も重要視していた。その際に上映されたビデオは5本で計18分の長さ。長野県内の北アルプスの風景や、まだ完成していなかった競技施設をCGを駆使して紹介。ほかに当時の海部俊樹首相や指揮者の小沢征爾氏のメッセージなども上映された。

 元招致委事務局長は「ビデオによるプレゼンテーションはどこの候補地でもやること。競技施設の紹介はどうしても必要で、CGの制作費も適正だったと考えている」と話していた、とか。

 また、日本オリンピック委員会(JOC)の長野冬季五輪不正招致疑惑に関する現地調査を前に、長野県や同五輪招致委員会(当時)の幹部が、事前に回答のすり合わせをしていたことも分かった。関係者によると、県オリンピック室が中心になって、長野市内で当時の招致委の主要メンバーらが集合、調査に対し規定に違反する不正はなかったし、渡航費などをすべて負担したのは正式に招待した一回だけで、ほかは丸抱えではなかったと回答することを確認したという。また、招致に関するコンサルタント契約を結んだ広告代理店への成功報酬(IOC理事の要請でローザンヌの広告代理店と結んだ招致に関するコンサルタント契約で、支払われた45万スイスフラン=当時のレートで約5100万円のうち、約3分の1が成功報酬だったと指摘されている)については、契約の経緯を説明し「成功報酬ではなかった」と主張するというものだった。

●長野冬季五輪、不正招致疑惑の調査●

 長野冬季五輪の招致に関しての不正を調べる日本オリンピック委員会(JOC)の「IOC問題プロジェクト」は2月7日、2日間の招致関係者への聞き取り調査を終えた。その結果、IOCルールに違反した可能性のあるIOC委員が少なくとも8人いた、ということが確認できたものの、過度な贈り物や票集めを目的とした代理人の仲介などの不正行為については、確認まで至らなかった。
 ただ、招致決定の投票が行なわれたバーミンガム総会時に、現地で接待用の豪邸を借り切るなどして約2億円を支出したことについては「適切であったとは考えられない」と行き過ぎを指摘した。一方、サマランチ会長に、200万円相当の日本刀や150万円相当の美人画が贈られていたことについては「作者からの善意によるもので問題ない」とした。
 
 しかし、JOCも招致委の中心メンバーで、招致活動の方法について招致関係者にそのノウハウをアドバイスすると共に、スウェーデンの「ダーゲンス・ニュヘテル」紙などが報じるように、ストックホルムを訪問したIOCの日本の理事が、同伴者1人と市内の高級ホテルに滞在した際、コニャックなどは飲みたい放題で、高級葉巻やシャンパンも部屋代につけ、滞在費は総額日本円にして約40万円になり、その全額をストックホルム招致委員会が支払っていた、ということもあることからも分かるように、IOCの調査にはもともと限界があるとする意見が多い。

 ちなみに誘致経費での旅費や飲食費などは軽く50億円を超えるとか。

●札幌冬季五輪招致にも飛び火?●

 1968年の第10回冬季オリンピック札幌招致を進めていた札幌冬季五輪招致委員会が当時、国際オリンピック委員会(IOC)委員4人に計400万円相当を贈っていたとする話が持ち上がり、札幌市長は2月4日、事実関係を調べるよう、スポーツ担当の同市教委に指示した。

 これは、招致委が全IOC委員に協力を呼び掛ける文書を送付した際、4人の委員から開催地を決める総会出席のための旅費提供を求める返書が送られてきたため、招致委のメンバーが約100万円ずつ米ドルで送金した、というもの。しかし、IOC総会で札幌は51票のうち6票の獲得にとどまり、開催都市はフランス・グルノーブルに決定。札幌は72年の冬季五輪開催にも名乗りを上げ、IOC総会で過半数を獲得、五輪開催を決めた。日本オリンピック委員会(JOC)は「JOCとしては札幌を調査するかどうか分からない」としている。

●大阪市の五輪招致●

 2008年に五輪の大阪開催をめざす「大阪オリンピック招致委員会」が2月8日発足したが、大阪市はPRなど招致に乗り出した1994年度から今年度までに22億5000万円を費やし、既に長野の招致委が使った金額に負けず劣らずであることが判明した。内訳は、開催計画策定関係に5億5400万円。広報関係に16億9700万円。五輪スキャンダルのさなか、なかなか根っこの深さを象徴する金額になっている。

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98年の未処分腐敗ゴミ其の一/根腐れ官僚編

98年の未処分腐敗ゴミ其の二/怠慢行政編

98年の未処分腐敗ゴミ其の三/ビジネスチャンス編

98年の未処分腐敗ゴミ其の四/歪んだ施策編


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