その他のいろいろ


座に持参するもの

連句の座に初めて参加する時に必要な物(グッズ)は、特別には何もありません。「百聞は一見に如かず」で生身の本人があればいいのです。だから持参するものは「好奇心」や「疑心暗鬼心」などで十分です。

でも何か?と考える準備周到な方は「鉛筆と消しゴム」を持参するといいでしょう。そして、句づくりをする時にあると便利なのが、適切な季語を句に盛り込む時に必要な『歳時記』とか『季語辞典』です。(やまぐち連句会では、簡単なものですが一応、季語のプリントを用意しておりますので、当会での座に初参加される時には敢えて必要はありません)

初参加を終えて、連句というものに興味が湧きそうだと感じたら、季語辞典を1冊、書店で買い求めるといいでしょう。連句用には連句・俳句季語辞典『十七季』東明雅・丹下博之・佛渕健悟編/三省堂刊/2300円などがあります。(ある程度のめりこむようになって、自分好みの歳時記なども買い揃えるといいでしょう)

座に準備するもの

参加する人が準備するものはありません。連句の座には、つくった句を書く「短冊」が準備されてます。そして治定(じじょう)された句を書いていく連句記入用紙も一人ひとりに準備されています。

正式には「一巻三十六の歌仙では、懐紙二枚を用い、それぞれ表・裏あわせて四つの面に句を記す。これを懐紙式という」とされていますが、これは「一応の参考」としておくだけでいいでしょう。

座には、お茶、コーヒー、紅茶、煎餅、お菓子も用意されています。敢えて、お茶受けのお品をお持ちくださる方については、誰ひとり、これを拒む者はおりません(特に当会では心より大歓迎いたします)ので、どうぞよしなに。

「句づくり」の心構え

参加する人は、「連句は三十六歩なり。一歩も後に帰る心なし」の「基本精神」で句づくりをすすめる心構えが必要です。

式目のページでも説明しましたが、連句のミソ、醍醐味はここから生まれます。

句を付けていく時には、発句と脇句以外では、重複、粘着、停滞、同種・同趣・同景などは「許されない」ものとなります。いま今いま、なのです。そして、すべて前へ前へとすすめ、同じ場所に停滞したり後に戻ったり、以前のものに固執したり、無効な使いまわしをすることは御法度です。

これは、言うまでもなく仕事を含む社会生活をするうえでの基本精神と同じです。しかし、怠慢さやエゴ、保身、創造力の欠如、我田引水などなどで、重複、粘着、停滞、同種・同趣、以前のものに固執、無効な使いまわしを繰り返すのが、私たちのあさましいところでもあります。

連句をしていくと、そうした「我」や「とりつかれた亡霊」のようなつまらない自分が鮮明に見えてくるから不思議といえば不思議で、やがては、これが潜在する魅力や可能性の宇宙なのであろうか、と実感するに至ります。

技術(スキル)や経験(キャリア)の有無も不要です。芭蕉が明言した「三十六歩なり。一歩も後に帰る心なし」。この心構えさえあればOKです。

「連句」の構成

その心構えの基本に準じて、連句一巻を巻く際、個々の句にはその順に名称や構成上の決まりごとがあります。最も基本になる一巻三十六の歌仙では次のように構成されています。

一見するだけで「ぎょ!」、見続けていくと「ぅえっ!!」、吟味していくと「面倒くせ〜!」が、絶対的大多数の初印象です。よって、最初はさらりとスクロールする程度でいいと思います。連句を実際に始めると、ある時期から、これが道路標識や案内板のように思えてきて、やや参考になります。

三十六歌仙の構成表

面称

名称

季句と月の句の定座・花の句の定座の基本的な配置や流れ

備考


(オモテ)

発句(立句) 春の句で始まる時 夏の句で始まる時 秋の句で始まる時 冬の句で始まる時 新年句で始まる時 や、けり、かな、などの切れ字を用いるのが好ましい、とされる
(脇句) 春の句 夏の句 秋の月の句 冬の句 新年句 発句に密着し同季同場同時で補完
第三 春の句 雑(無季) 秋の句 雑(無季) 春の句 前句から転じ、て、に、にて、らん、もなし、の留字で留める
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 春の句 軽くサラリとつける
秋の月の句 秋の月の句 夏の句冬の句 秋の月の句 春の月の句 発句が秋の月の句の時は無季の句をつける
(折端) 秋の句 秋の句 夏の句冬の句 秋の句 雑(無季) 軽くテンポのいい句をつける


(ウラ)

(折立) 秋の句 秋の句 雑(無季) 秋の句 雑(無季) 恋の句はまだ早い
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 独自の発想でバンバンいく
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 恋句はこのあたりから出すのがよい、ともいわれる
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑か夏の句 恋句は二句続ける
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑か夏の句 独自の発想でバンバンいく
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
夏の月の句 冬の月の句 冬の月の句 夏の月の句 秋の月の句 句の流れで月の句はもっと後でもよい
夏の句 冬の句 冬の句 夏の句 秋の句 月の句の次は季節に準ずる
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 秋の句 独自の発想でバンバンいく
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 花の句の前は植物を詠まないようにする
十一 春の花の句 春の花の句 春の花の句 春の花の句 春の花の句 花の句の定座、花とは桜のこと。但し発句が桜の時は梅を詠んでもいい
十二(折端) 春の句 春の句 春の句 春の句 春の句 春の季語を入れて独自の発想でバンバンいく

名残の表
(ナオ)

(折立) 春の句 春の句 春の句 春の句 春の句
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 独自の発想でバンバンいく
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
冬の句 夏の句 夏の句 冬の句 冬の句 このあたりで季節を詠む
冬の句か 夏の句か 夏の句か 冬の句か 冬の句か 季節は二句続いたほうが好ましい
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 独自の発想でバンバンいく、濃厚な恋句を二句続きで盛り込むとよい
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
十一 秋の月の句 秋の月の句 秋の月の句 秋の月の句 秋の月の句 以前に詠まれた月の句と同趣同景にならぬようにする
十二(折端) 秋の句 秋の句 秋の句 秋の句 秋の句 以前に詠まれた秋の句と同趣同景にならぬようにする

名残の裏
(ナウ)

(折立) 秋の句 秋の句 秋の句 秋の句 秋の句 ここからは考え込まないで軽く穏やかな句をテンポよく詠む
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) テンポよく穏やかなに詠む
雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季) 雑(無季)
雑か春の句 雑か春の句 雑か春の句 雑か春の句 雑か春の句
春の花の句 春の花の句 春の花の句 春の花の句 春の花の句 以前に詠まれた花の句と同趣同景にならぬようにする
挙句 春の句 春の句 春の句 春の句 春の句 穏やかにおわる

●句づくりの構成は、表六句が「序」、裏〜名残の表が「破」、名残の裏が「急」。この感覚で進めます。言い替えると、表六句が「起」、裏が「承」、名残の表が「転」、名残の裏が「結」となるのだろうと思います。

●三十六の句を「歌仙」と言いますが、やまぐち連句会での講座では毎回、1回の講座で十八句(半歌仙)を巻き終えることにしています。約二時間程度を要します。

●「座の仕組みと連句のすすめかた」「発句と脇(連句・歌仙のまきかた)」「基本的な式目」「その他のいろいろ」で「連句入門編」はおわりです(正確さを期すために加筆・修正・項目追加は随時行ないます)。

●この「連句入門編」を読み進めて、ここまで来た方は、連句の世界の入口に立つことが十分に可能です。もう貴方は、連句人になり始めています。そして、空いた時間の二〜三時間で、あなたは、連句づくりの醍醐味を味わいながら新たな世界・宇宙で遊ぶことが可能になります。

●上記の暗示に乗せられて、どうぞお気軽に、おいでませ、「連句しませんか。」が合言葉のやまぐち連句会の座に。


基本的な式目


連句実践編に


連句入門編

目次

座の仕組みと連句のすすめかた

発句と脇(連句・歌仙のまきかた)

基本的な式目

連句の手引き書として好評です。


定例「連句講座」案内

目次のページ

トップに戻る

山口県総合芸術文化祭「連句大会」ガイド

連句しませんか。