日本人の基本食のコーナーでお話しましたが、健康のかなめ=日々の快便副食を少なめに穀類をしっかり食べることだとわかりました。
穀類の中でも玄米を食べ始めた人は、白米のときの便との違いに、まずは驚きます。また、ほとんどの人が口をそろえて「睡眠時間が短くなった」「今までより疲れることも少なくなった」「肌がきめ細かくなった」などなどと、言います。
そんなチカラが玄米に何故あるのでしょうか?

ここでは、白米と玄米の違いをみていくことにしましょう。


玄米の図

上の図を見て下さい。一番外の籾殻を除いたものが玄米です。白米は胚乳の部分です。吟醸酒などを作るお米は、もっともっとこの胚乳の部分を削いだものです。反対に胚芽のところを少し残したのが七分米、三分米、胚芽米などとよばれているものです。籾殻と胚乳以外の部分がいわゆる糠のところです。ここに何が含まれ、どんな働きがあるのでしょうね。

果皮と種皮には、脂肪、たんぱく質、セルロース(繊維)があります。セルロースはこれ自体では消化しにくいですが他の食物の消化吸収を助け、腸の働きを促進します。また、セルロースは腸内細菌の作用でビタミンB1.ビタミンB2.ビタミンB12などに生合成されるのです。
湖粉層と胚芽には、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのカリウム・マグネシウムなどがあります。
胚芽は米の生命の宿っている最も大切な部分で、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビタミンEなど含んでいます。
その他、ガンマーオリザノール、イノシトール、フイチン酸なども玄米は含有しています。

玄米に含まれる主な成分と特徴

成分

 特徴
ビタミンB1 ビタミンB1は炭水化物(糖質)の代謝と関係が深く、消化吸収を助けるので、主食として炭水化物を多くとる日本人には特に大切なビタミンです。不足すると、脚気、眠く疲れやすい、胃腸が弱る、便秘、不眠症、神経質。白米・白パン・うどん・砂糖・いも類を沢山食べる日本人は不足しやすい。
ビタミンB2 成長を促進。不足すると、口角炎、舌炎、白内障。ビタミンB1と共にあるのでビタミンB1をとっていれば心配ない。
ビタミンB6 脳細胞の賦活作用を助けるので頭の働きには大切。不足すると筋肉緊張低下、アレルギーじんましん、しもやけ。
ビタミンB12 貧血防止ビタミン。腸が丈夫な人は腸がつくる。
ビタミンE 若返りと妊娠・出産に関係するビタミン。ビタミンAを守り、脂肪の酸化防止に役立つ、酸化すると血液が汚れ肝臓が疲れ、皮膚が黒くなる。
ミネラル 骨や歯をつくる。血液や体液の中にあって中性に保ったり、神経の作用に関係している。
ガンマーオリザノール 毒物を出したり、脳神経、細胞、内臓機能を活性化させる。
イノシトール 毒物、老廃物を出したり、肝機能の働きを強める。
フイチン酸 農薬や公害物質と結合して体外に出す働きがある。

このように玄米は、ビタミンA、ビタミンC、カルシウムは極微量だったり、なかったりしますが、ここまで完全食に近い食べ物は他にありません。また、広島の原爆症を玄米食で乗切った人の話は有名ですが、玄米にはそんな汚染物質をも体外に出す働きがあるようです。これ以外にも分析では出てこない栄養素も沢山あると想像されます。玄米食で病気が治ったという話もよく聞きますが、まだまだ分析には出てこない不思議なチカラがあると考えられます。
それは米が日本の古来からの環境すべてを吸収し、その遺伝子が実となって伝わって来たことと無関係ではない気がしますが皆さんはどう思われますか?

白米と玄米の比較図

白米と玄米の成分を表にしたのが上の図です。白米にするとこんなにたくさんの大切な成分が糠となり捨てられるのです。粕(かす)という字が米が白いといはよく言ったものです。

白米は、精米で果皮も種皮も湖粉層も胚芽も取り除かれているので残ったのは、胚乳のデンプン、ただカロリーだけです。ミネラルもビタミンもないので燃焼した後、完全に化学分解しない部分が残り、乳酸や焦酸ブドー酸という産物を出します。これは身体に害を与える物質で血液を酸性化してしまいます。乳酸や焦酸ブドー酸は胚芽などに含まれる成分の作用を受けると水と炭酸ガスに変えられ、無害となります。
白米は、血液を酸性にする上、糠として除かれた栄養を他の食品から採ることになるので、どうしても食べ過ぎることになり、毒素として体内に溜まって病気ということにもなりやすい訳です。

もちろん、善玉の腸内細菌が多くあれば、腸内でビタミンB1も合成されます。すると、ミネラルのない白米でも血液の酸化は少なくなります。しかし、ビフィズス菌とは反対に働くアノイリナーゼ菌が積極的にビタミンB1を破壊し、カルシウムの吸収もさまたげて血液を酸性にします。ことに肉、白砂糖など酸性の食品を多くとるとアノイリナーゼ菌がどんどん増えていき、現代の食生活では正常な腸内細菌の働きが難しくなっています。だから増々、ミネラル、ビタミンが ない白米では、いろいろ障害をおこすことになるのです。

玄米は良いということが分かったけど、美味しくない、家族が食べないという人はどうしたらいいのでしょう?

玄米が食べられない人は、胚芽米や七分づき米に雑穀や豆を一緒に炊くことでそのかわりができます。穀類(粟、稗、黍、麦)や豆類も玄米と同じような働きをする栄養素があるのです。雑穀は玄米よりビタミンB1、B2、E、ミネラルなど多いくらいです。
また、玄米の炊き方で味が全然違いますので美味しい炊き方を習得して下さい。えっ、これが玄米というぐらい餅米のようにおいしく炊けるのです。
玄米の美味しい炊き方はこちら


私達が生れ育った日本の国土・環境すべての遺伝子を何千年分もまるごと抱え持ったお米そのままをまずしっかり噛んで(噛む意味と効用)食べてみて、日本人と云うDNAを持った自分の体や心がどう変わるか試してみませんか? おもしろい実験だとは思いませんか? 特に子供を産む女性の方やお母さん、試す価値はありそうですよ。


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