一体、わたしたちは、何を、どのように食べると、自分の体質に合った食べ方になるのでしょうか? 自分のからだなのに、それがよく分からない。
 他人のことは、欠点を含めてよ〜く見えるのに、自分のことになるとチンプンカンプン。それとよく似てますよね。
 自分の体質に合った食べ方って? 一体、自然に沿った食とは?どういうことなのでしょうか。それを探ってみることにしましょう。

 先日、田舎に帰省したとき、母が「テレビでヨーグルトが良いと言っていたので食べ続けていたら、体調が悪くなった。だから私はもうあの番組を見ない」なんてプリプリ言っていました。
 ある人は「テレビでやっていたお茶飲んだら体調いいわ」なんて言っていました。
 からだは百人百様でさまざまです。他人に良くてもそれが自分に合うとはかぎらないようです。自分のからだの状態と食べ物の成分やはたらきを知らないと母のように「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」となりかねません。
 また、あっちが良いと聞けばあっち、こちらが良いと聞けばこっちと一生振り回されることになります。

 自分の体調を毎日病院に行って調べてもらう訳にもいきません。では、どうすれば自分で自分の体質を知り自己管理することができるようになるのでしょうね。

 睡眠、便、尿、食欲の有無、疲れ方の度合いなどで、なんとなく体調はわかりますよね。その中で毎日確実に自分の目でチエックできるのが大便です。
 健康や病気は毎日の積み重ねで出来るものです。だから、何をどのように食べたとき自分の大便はこうなる、と分かる訳で、他人とは違うのです。
 赤ちゃんの便をなめるようにお母さんがよ〜く調べている姿を見たことのある人もおられるでしょうが、ほんとにお母さんは、ああして赤ちゃんが口にしたものがどうだったか調べるのです。

 このように、自分のからだの中を教えてくれるのが大便です。読んで字のごとく、からだからの「大きな便り」なのです。

 例えば、便秘している人や黒くて山羊のような便のときは、動物性が多く、繊維が不足してますよね。色や匂い、大きさも違いますよね。まず、自分が一番体調が良い時、つまり快眠、快便、快食、疲れない、物事が楽しくできる、そんな体調のときの便の形や色、匂いなどをよく覚えておくのです。そして、そんなときの食事の状態も覚えておくのです。ここを基準に、便の状態が変わったとき、食べたものもチェックしておくのです。ノートに1〜3ケ月つけてみると自分のからだと食べ物の関係が見えてきます。(詳しくは大便コーナー)

 個人差はありますが、便が大きく長く、黄土色で匂いが良く、水に浮く軽い便は、とても健康なときの便です。こんな便のときは、穀類をしっかり食べ、主食と副食のバランスがいい時です。
 やはり、穀類(米)は健康を左右する食べ物のようです。どうしてなのか、次でみてみましょう。

まず、日本という国は海に囲まれ、四季があり、世界的に気候に恵まれた国です。でも、ヨーロッパとは土の質が違い、湿度がとても高い国です。こんな環境に適応した食べ物は、麦でなく湿地にできる米なのです。ヨーロッパの土地には麦(パンの原料)が適し、日本は米です。古代、日本は瑞穂(みずほ)の国と呼ばれていたくらいないのです。

米は冬に貯蔵されていた種籾を春に播き、秋に収穫されます。その間、籾で冬の寒さを過し、早苗からは風にゆられ、梅雨期の湿度と雨を受け、時には台風にも遇い、こんな日本の国の環境を全て吸収して実になります。だから、米をしっかり食べると暑さや寒さ、梅雨期の湿度も平気になります。昔から日本人は忍耐強いといわれますが、こんな米をしっかり食べていたのが日本人でした。
そして、日本は回りが海で魚や海草も豊富にある国です。日本の国土はヨーロッパに比べるとカルシウム分が少ないです。それは雨が多くて土に含まれるミネラルは川から海へと流されるからです。その海で育つ海草を日本人はよく食べてバランスをとっていたのです。昔から、食べ物は自分が住んで居る近くのものを食べるのが一番いいと言われます。それは、寒い北でみかんを作ってもいいものができないのと似ています。環境に適して育つと植物も動物も健全です。だからそこに住む動物はそこでできる植物を食べると、より健全で居られるということです。

2500年の歴史を生きた先祖達が経験の中から培ってきた、伝統食や郷土料理は私達日本人が健康に生きていく為の食のあり方を教えてくれています。それらに共通していることは、環境に合った食、四季折々の旬の食、皮も根っ子も全部食べる食(一物全体)であるということです。

また、身体の造りから言っても米(穀類)をすり潰す臼歯が20本、野菜を噛む門歯が8本、肉・魚を噛む犬歯が4本です。歯の本数から言うと、穀類が6〜7割り、野菜が3割、肉・魚が1割ということです。腸の長さもヨーロッパ人に比べると日本人の腸は長いので動物食は適してないのです。

こうした日本人の環境と身体に合った食とは、まず穀類をしっかり採ること。そして野菜、海草、魚、などが適しているといえます。

   

PHOTO:風土記八十八選より


では、具体的に見ていきましょう。

主食

万葉時代の一般庶民の食べ物は、「玄米、ひじき、のびる、塩」で、1日500カロリーに満たないものでした。人間はこれでも生きられるということです。歌を送られたらすぐ返歌ができたという万葉の人。きっと脳の働きも活発だったことと想像します。そんな万葉時代を思うと、少ない食事の方が返って健康で脳も活性化するのでないかと思ってしまいますよね。

時代は変化しているのですから、万葉人のようにはいきませんが「不易流行」という言葉があるように、ものには変わらないところと時代と共に変わところがあるということです。変わらないところをしっかりとらえ、あとは時代や環境に即して生きられるようになれるといいですね。例えば、野菜は根っ子、茎、葉っぱからできています。根っ子はからだを温める性質があります。葉っぱはからだを冷やす性質があります。また、暑い夏にできるトマトやキュウリ、ピーマン、ナスなどは暑い夏を過すためにからだを冷やしてくれます。これは変わらないことです。だから、自分が冷え性だったら、夏野菜は食べないでごぼう、人参のような根っ子の野菜を食べるとバランスがとれてくる訳です。反対にお肉などを食べ過ぎている人は、冷やす野菜をとったらバランスがとれるわけです。ステーキを注文したら生野菜が付いてくるのはそういう為です。

ドイツから入って来た栄養学では1日30品目は食べましょうと言われてる現在、万葉時代にこれだけの食で健康を保っていた秘訣は何にあったのでしょう。「玄米、ひじき、のびる、塩」という食で健康で生活できるということを考えるとやはり、穀類のもつパワーということになりそうです。

前項で穀類をしっかりからだに入れたときには、健康な便になるといいましたが、白米ではなく玄米のほうがよさそうです。確かに、白米を食べたときと玄米を食べたときでは便の質に雲泥の差があります。ということは、より健康な便の秘密は玄米にありそうです。でも、白米を食べている人には信じられないことだと思います。よく白米を食べている人に「玄米がからだに良いと聞くけど、あんなまずいもの食べられない」とか言います。美味しく食べる方法とか玄米と白米のどこがどう違うのか一度ゆっくりみてみましょう。毎日の快便のために!玄米コーナーはここ


次に副食の野菜、海草、小魚、木の実、ゴマなどです。副食は全体の3〜4割程度が良 いです。

野菜

野菜はビタミンCがあり、特に緑黄色野菜はビタミンAも多く、根菜類は身体を温めます。ナス、ピーマン、トマトなど夏野菜は身体を冷やします。


海草

海草には多くのミネラルが含まれ、血液を浄化してくれます。


小魚

動物性の食は、身体を酸性にします。だから、なるべく肉は少なくして魚も近海で捕れる魚が身体にはやさしいです。


豆類

動物蛋白にまさる蛋白源で、他にもすぐれた栄養があります。


ゴマ
木の実

ゴマはカルシウムが抜群で木の実にはミネラルが多く含まれています。


まとめると、主食の玄米を6〜7割、野菜を2〜3割、肉・魚は1〜2割以下の割り合いで採ると日本人にとって理想的な基本食となりそうです。これをベースとして自分に会った量や食べ物を探していけばいいです。体質は百人百様です。いままで肉(極陽性)を採り過ぎて来た人は野菜(陰性)や茸類(陰性)を多めにとったほうがいいが、冷え性の人が砂糖(極陰性)や果物(極陰性)、野菜(野菜でも根菜類の方が陽性)を多くとってはますます冷え性になってしまいます。穀類は中庸なので、穀類を多く採っているといつの間にかバランスもよくなって来ます。

陰性・陽性の説明はここ

以上が自分に適した食のおおまかな話です。

料理の仕方、各素材の持つ特性など詳しくは別コーナーを参考にして下さい。基本の食生活をやってみたのに変わらなという人は、下の1.2.3.4.5.6が落とし穴となっている場合が多いの確かめてみて下さい。

1.良く噛む。(健康な人で50回以上〜。病気の人は100回以上噛むほど良い)噛む効能はここ
2.運動をする。(運動できない人は少食にする)
3.なるべく農薬、添加物を使って無い材料を用いる。(病気の人は特に注意)
4.間食をしない。
5.白砂糖はやめる。
(どうしてもほしい場合は、黒砂糖、蜂蜜、羅漢果を使う。病気を治したい場合は甘いものは避ける)
白砂糖の話はここ
6.心の持ち方。こちら

別コーナーも参考にご自分の身体で、日本人に適した食生活(基本は主食は玄米)を実践されてみて下さい。1〜3ケ月続けて見るとその違いが鮮明に判ります。


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