地震、津波、原発事故。このトリプル惨事の影響で、海外の美術品を借りて開催する展覧会の中止が相次いでいる。
例年、巡回展などで人気の「ムーミン」には、今年は会えそうにない。
岡山県立美術館が予定していた「トーベ・ヤンソンとムーミンの世界展」が中止に追い込まれた。
フィンランドの博物館から童話「ムーミン」の原画など約130点を借りるはずだった。しかし、「日本で何が起こるか予測できず、貸し出しはできない」と言われた。被災地から遠い場所だと説明しても、フィンランドから見れば「地震、津波、原発事故で危険なニッポン」だ。方針は変わらない。同行するスタッフの安全も考慮して、フィンランドの博物館は貸し出しを見合わせた。
フランス象徴派を代表する画家「モーリス・ドニ」いのちの輝き、子どものいる風景展では、ドニの遺族が秘蔵する10点を世界初公開する計画だったが、山梨県立美術館は中止を余儀なくされた。
フランス政府の美術館総局は3月16日には早くも、国立や国立級の美術館に対して「危険の情報が十分得られない」として日本への美術品輸送停止を通達していた。
愛知県豊田市美術館の「ジョルジョ・モランディ」展は、イタリア側が安全を懸念して貸し出しを見合わせた。保険会社も「保険引き受けは不可能」と判断した。そのため中止が決まった。
ホノルル美術館所蔵の「北斎展」を東京三井記念美術館が開催する予定だったが中止した。横浜美術館の「プーシキン美術館展」は、開催見合わせで延期が決まった。首都圏の美術展では、停電の心配など他の懸念材料も出てきた。湿度や温度管理など作品の保管そのものに関わる難題も負うことになった。
東日本大震災で日本中の人の心が冷え込んだ。そんな中での観賞は、束の間のオアシスだが、まだ何が起こるか予測不能なのは確かだ。
しばらくは海外の美術品を借りて開催する展覧会の中止は続きそうだ。
ムーミンに会えないのなら、ミッキーに会いに東京ディズニーランドに行くのも一考かも知れない。鬱いだ気持ちが晴れるに違いない。
震災で被災された方々に対しては「永年無料パスポート」をTDLが太っ腹で謹呈すれば、なおのこと明るくなるに違いない。ふんだんな電飾で人気のエレクトリカルパレードも復活させて、開園時間も伸ばし、「原発はノー!」「まじめに電気をつくれ!」の横断幕を掲げれば、入場者全員がハッピーになること請け合いだ。
さらに新しい電力網の「スマートグリッド (smart grid) 」に本格的に乗り出せば、新たなアイデアがわき水のように溢れ出て、ビジネスチャンスも生まれるに違いない。